花が咲くまで10年以上かかり、たった1日でしぼむ…“死体のような悪臭”を放つ巨大珍植物が開花

  • 文:宮田華子
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森の中の巨大な死体花
写真はイメージ(Shutter Stock)

英・ロンドン西部の王立植物園「キュー・ガーデンズ」の温室で2026年4月末、世界的にも珍しい植物が開花した。

この植物「タイタン・アラム」は巨大な花序(かじょ)と、強烈な臭気で知られる。そのにおいが死体を彷彿とさせることから「死体花(Corpse Flower)」の異名を持つほどだ。開花時間はきわめて短く、見ごろは24時間前後とされる。長い年月を経てやっと開花する機会を逃すまいと、多くの来園者が温室へ足を運んだ。

インドネシア・スマトラ島原産の大型植物

タイタン・アラムは開花が近づくと、つぼみの成長が急に進む。4月下旬、育成中の個体が日ごとに大きくなり、植物園側が「まもなく開く」と伝えた。外側を包む苞(ほう)がゆるみ始めると、現地では開花を待つ空気が高まったという。

タイタン・アラムはインドネシア・スマトラ島原産の大型植物だ。発芽から初開花まで10年から12年ほどかかるとされる。栽培環境によってはさらに長くなる場合もあるという。

花のように見える部分は、多数の小花が集まった花序である。中央に伸びる肉穂花序(にくすいかじょ)と、それを囲む深いえんじ色の苞が特徴で、高さ数メートルに達することも。見た目の迫力に加え、栽培に時間を要する点も、この植物が注目される理由のひとつだ。植物園にとっては、長期育成の成果を一般公開できる貴重な機会でもある。

強烈なにおいと、短い見ごろ

開花時に放つにおいは、腐敗した肉を思わせる臭気として広く知られる。これはハエや甲虫を引き寄せ、受粉を助けるための性質と考えられている。

報道によると開花したのは4月28日だった。当日は珍しい瞬間を記録しようと見学者が集まり、温室内では写真や動画を撮影する姿が多く見られた。

ただし見ごろは長く続かない。翌29日、開花のピークを過ぎると苞は次第に閉じるように垂れ、存在感のあった姿も急速に変化していった。

キュー・ガーデンズでは生育段階やサイズの異なる約40株のタイタン・アラムを保有している。今回開花した個体が「初開花」かどうかは不明だが、「キュー・ガーデンズで今年初めて咲いたタイタン・アラム」と紹介されている。

タイタン・アラムは初開花後も「毎年咲く」というわけではない。多くの場合、次に咲くまでには数年を要するとされる。今回の開花は、その希少な生育サイクルを間近で示す機会となった。

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開花した「死体花」、タイタン・アラム。@kewgardens - instagram
約1日でしぼんだタイタン・アラム。次に開花が見られるのは数年後。@kewgardens - instagram

宮田華子

ロンドン在住ジャーナリスト/iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授

アート・デザイン・建築記事を得意とし、さまざまな媒体に執筆。歴史や潮流を鑑み、見る人の心に届くデザインを探すのが喜び。近年は日本のラジオやテレビへの出演も。英国のパブと食、手仕事をこよなく愛し、あっという間に在英20年。

宮田華子

ロンドン在住ジャーナリスト/iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授

アート・デザイン・建築記事を得意とし、さまざまな媒体に執筆。歴史や潮流を鑑み、見る人の心に届くデザインを探すのが喜び。近年は日本のラジオやテレビへの出演も。英国のパブと食、手仕事をこよなく愛し、あっという間に在英20年。