着陸まで残り約30分…フライト中の飛行機で赤ちゃん誕生。偶然搭乗していた救急隊員が対応

  • 文:宮田華子
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写真はイメージ(ShutterStock)

米デルタ航空の機内で、着陸直前に女児が誕生した。

去る4月24日、米ジョージア州アトランタを出発しオレゴン州ポートランドへ向かっていた便で、乗客の女性が飛行中に産気づいた。到着まで残り約30分というタイミングだったという。

医療設備がない空の上で起きた緊急事態だったが、偶然同じ便に乗り合わせていた救命救急隊員2人が対応し、母子ともに無事に到着した。

客室乗務員の呼び掛けに、救命救急隊員が対応

客室乗務員が機内で医療支援を呼び掛け、乗客として搭乗していた救命救急隊員のティナ・フリッツとカーリン・パウエルが名乗りをあげた。ふたりはいずれもオレゴン州ポートランド地域の救急業務に携わっている。

ふたりは通路周辺を確保し、客室乗務員と連携しながら出産の準備を進めた。フリッツは取材に対し、「3回のとても力強いいきみで、赤ちゃんはすぐ生まれた」と出産時の状況を振り返っている。

パウエルは、機内に十分な器具がない状況で自分の靴ひもを外し、必要な処置に活用した。さらに、へその緒の処置にもあたり、着陸態勢に入る機内で母子の安全を優先して対応した。設備が限られた旅客機内で、日頃の業務の経験がフルに活かされたと言える。

母親は冷静に出産、赤ちゃんも健康状態は良好

出産した女性はテネシー州在住のアシュリー・ブレアで、報道によると、自身の母親が暮らすオレゴン州で「里帰り出産」するために現地へ向かっていたという。

出産予定日は搭乗時点から約2週間後だったとされ、臨月直前や搭乗制限の時期ではなかった。通常の移動としてフライトを利用していたところ、予定より早く陣痛が始まり、機内での緊急出産となった。

介助にあたったフリッツは「母親は本当に見事だった」と振り返っており、突然の状況でも落ち着いて出産に臨んでいたことがうかがえる。

生まれたのは体重約2.5キロの女児だった。赤ちゃんは誕生直後に泣き声を上げ、健康状態も良好だった。フリッツは「赤ちゃんはすぐに血色がよくなった。とてもかわいかった」とコメントしている。機内にいた乗客らも、新しい命の誕生に安堵したという。

緊急時対応の重要性を示した事例

航空機内での出産は、数多くはないものの時折報じられている。今回注目されたのは、着陸直前という時間帯に加え、救命救急隊員が偶然搭乗していたこと、そして客室乗務員との連携によって安全な対応につながった点だ。機内で出産兆候が起きた場合、医療従事者が不在で緊急着陸が必要になる例もある。今回のケースは幸運な条件が重なった。

航空機がポートランドに到着すると、地上で待機していた医療チームが母子を引き継ぎ、必要なケアを行った。デルタ航空側も、乗務員の対応と協力した乗客に謝意を示した。

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無事誕生した女児と、わが子を胸に抱く母アシュリー・ブレア。@washingtonpost – X

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2人の救命救急隊員のティナ・フリッツとカーリン・パウエルと共に。狭い機内で無事出産した。@people – X

宮田華子

ロンドン在住ジャーナリスト/iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授

アート・デザイン・建築記事を得意とし、さまざまな媒体に執筆。歴史や潮流を鑑み、見る人の心に届くデザインを探すのが喜び。近年は日本のラジオやテレビへの出演も。英国のパブと食、手仕事をこよなく愛し、あっという間に在英20年。

宮田華子

ロンドン在住ジャーナリスト/iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授

アート・デザイン・建築記事を得意とし、さまざまな媒体に執筆。歴史や潮流を鑑み、見る人の心に届くデザインを探すのが喜び。近年は日本のラジオやテレビへの出演も。英国のパブと食、手仕事をこよなく愛し、あっという間に在英20年。