宇宙船。それがランボルギーニのデザインテーマだ。2026年5月に発表された「フェノメノ・ロードスター」も、浮遊して疾走していきそうな斬新な造型が衝撃的だ。

フェノメノ・ロードスターが一般公開されたのは、ボローニャ近郊のイモラサーキット。盛大なファンイベント「ランボルギーニ・アレーナ」2026年が開催されたタイミングだ。
“子どもの夢”をかなえるような一台
私はその前日に、ガラディナーの形式で開かれた、フェノメノ・ロードスターのお披露目にも同席できた。
このとき、観たビデオが面白かった。「大人になったら大きな宇宙船を操縦する」という子どもの張り切った声から始まる。ランボルギーニ車のデザインの見どころを紹介する内容だ。
美しいという言葉は出てこない。「空を飛びたい」とか、「火星を走りたい」とか、子どもの夢が次々に紹介される。
それに合わせて、ウイングのようなスポイラーが電動で展開したり、砂地を縦横無尽に走りまわる、ランボルギーニ車の映像が切り替わっていく。

ランボルギーニが明かす、デザインの裏側
「そう、私たちのテーマはいつも宇宙船なんですよ」
会場で会った、ランボルギーニのヘッドオブデザイン、ミーティア・ボルケルト氏は言う。
フェノメノ・ロードスターも例外でないそうだ。端的にいうと、先駆けて25年8月に発表されたクーペ「フェノメノ」のオープンバージョン。

「単にルーフを切り取っただけなら簡単なんですが…」と、ボルケルト氏はこう続ける。
「オープン化にあたって、できるだけ手を入れて、特別なモデルにしようと私たちは努めました」
オープン化はただのスタイルにとどまらない。性能が犠牲になっていないことが強調される。

空力は徹底的に煮詰められ、クーペと同等のダウンフォースが得られるような設計だ。
ウインドシールドにはスポイラーを設けてある。空気の流れをつくり、キャビン背後のエンジンルームに誘導することで、12気筒エンジンを冷却するという凝りかた。

「私のイメージでは、フェノメノ・ロードスターは、あらゆるエネルギーを吸い込む超高性能のスペースシップ。内部にたまったエネルギーを表現したデザインです」
ボルケルト氏は、いかにも楽しい、という笑顔で語る。
伝統を未来へとつなぐ、細部へのこだわり
各所に大きなエアインレットを設けたフロント。加えて、車体側面では、前輪の後ろからリアフェンダーの大型エアインテークにかけてキャラクターラインが拡がっていく。大胆な造型だ。

「フェノメノ・ロードスターは、ランボルギーニのスポーツカーのヘリテージを意識しつつ、未来へと向かうデザインなのです」
プレスリリースではこのように説明されている。実車はまさにその言葉どおりの仕上がり。

ボディ各所にランボルギーニ車のアイコンでもあるY字のモチーフを配し、エアインテークとエアアウトレットがSF的なイメージを加味する。
プロファイル(サイドビュー)も特徴的だ。「ウルトラフラット」(プレスリリース)と説明される。
ウインドシールドの傾斜角をなるべく小さくしている。車高が低く見えるだけでなく、キャビンへの風の巻き込みが抑える効果もある。

フェノメノ・ロードスターは実際に特別な存在だ。フェノメノの29台に対して15台のみが生産される。
ごく限られた数しか製造されない「フューオフ」というカテゴリーに属するトップモデルなのだ。

最高出力は795kWで、静止から時速100kmまでの加速に要する時間は2.4秒。フェノメノ・クーペと同等の性能を得ている。
とにかく、実車を観ていると、凝った造型によって、常に新しい発見がある。そんなクルマ、ランボルギーニのほかにあるだろうか。










