“朝ドラ”こと、NHK連続テレビ小説の主演の座は、多くの若手俳優が目指すマイルストーンだ。放送中の『風、薫る』で見上愛とダブル主演を務める上坂樹里にとっても、本作の主人公は「ずっといちばんの夢」だった。オーディションに挑み続け、三度目の正直で夢を叶えた。
「この作品でいっぱいいっぱいなことが嬉しいです。お休みの日も台本を覚えて、寝ている時も現場の夢を見て……(笑)。もちろん大変なことやお芝居で悩むこともあります。でも、いまの自分がこのタイミングで挑戦できていることを、すごく幸せに感じています」
クランクインから半年が経ち、監督と見上から「最近、顔つきが変わったね」と言われたという。
「大家直美として生きているから、どんどん自分の中に役が落ちているのかなと思えて嬉しかったです。実は、最初は直美のことが理解できませんでした。自分が生きるためなら平気で人に嘘を吐く。『どうして?』と感じる部分を監督に相談しながら演じるうちに、理解が難しい部分こそが彼女の人間味であり、魅力なのだと思うようになりました。生きることに貪欲で、物怖じしない。とてもかっこいいと思います」
上坂にとって、英語の台詞も挑戦だった。孤児として育ち、アメリカへ行くことを夢見ている直美は、英語を矛に人生を切り拓く。その流暢で鋭い台詞回しから、直美の切実さが伝わってくる。
「英語の先生に就いて、基本中の基本から練習していますが、やっぱり難しいです。発音もそうですし、英語でのお芝居となるとまた新しい課題が出てくるので、毎日壁にぶつかっています。でも、英語の台詞のシーンでは、直美の本当の思いをすべて曝け出しているので、撮り終わるたびに達成感を味わっています」
監督と話し合い、1シーンずつていねいに撮影する中で、かつてない感覚を味わったという。
「あるシーンの本番中になにかが湧き上がってきて、考えていたものとは違う方向性のお芝居をしていたんです。自然にそうなっていたのでびっくりしました。監督からは、『直美を演じているのは上坂さんだから、それが正解だと思ったのでオッケーを出しました』と言っていただいて。自分が直美を演じる責任を強く感じました」
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夢見たことが現実に、大きな変化を受け止める日々
明治という激動の時代を生き抜く直美を演じることで、俳優としての経験値が増え、自身が目指す生き方も見えてきたようだ。
「社会の壁にぶつかり、偏見にさらされ、苦しみながらも信念を持って突き進んでいく。そんな直美を尊敬しています。序盤で『This is my life』という台詞が度々登場します。私も自分がした選択を後悔することなく、『これが私の人生です』と言えるように突き進んでいきたいです」
彼女の芝居へのあくなき探求心は目を見張るものがある。2021年に俳優デビュー後、多くの学園ドラマで同世代の俳優たちと切磋琢磨してきた日々をこう振り返った。
「悔しいくらい、たくさんの刺激をもらいました。いまでも日々、素敵なお芝居を見ると、自分ができないことが悔しいんです」
昨年20歳の節目を迎えてから、映画初出演、初の写真集、そして念願の〝朝ドラ〟主演と、挑戦が続く彼女にいまの心境を尋ねた。
「数年前の自分からしたら、夢だと思っていたようなことが現実になっています。いろいろなお仕事をしていくなかで、自分は本当にお芝居が好きだということを再確認しています。今後も自分の可能性を限定せず、枠にとらわれず、いろいろな役や作品に、柔軟に挑戦できる俳優になりたいです」
今後、挑戦したいことは「刑事役やアクション」と即答。寝ても覚めても芝居のことが頭から離れない彼女がいま挑戦したいことは意外にも、〝ひとり旅〟だという。
「『いつか、無重力の宙へ』という作品に出演したことがきっかけで、星が好きになったんです。『風、薫る』でご一緒しているメアリー役の方が、ハワイで星空が綺麗に見えるスポットを教えてくれたので、いつか行ってみたいです」
俳優、表現者として進化し続ける彼女から目が離せない。
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WORKS
連続テレビ小説『風、薫る』
明治時代を舞台に、ふたりの女性が看護の世界に飛び込み、最強のバディとなっていく物語。上坂は見上愛とともにW主演を務める。NHK総合で毎週月〜金曜、午前8時〜8時15分放送。NHK ONE で同時・見逃し配信予定。
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映画『山口くんはワルくない』

同名の人気少女漫画を実写化した青春ラブストーリー。ヒロインの皐が、コワモテだが実はピュアなギャップを持つ転校生の山口くんに惹かれていく。上坂は皐の親友・和久ほのかを演じる。6月5日より全国ロードショー。
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映画『ACTORS STAND Vol.2』
上坂をはじめ、エイベックス・マネジメント・エージェンシーの所属俳優を起用したプロジェクトの第2弾。主演を務める4本の短編映画を担当マネージャーが自らプロデュース・制作。2026年夏以降、順次上映予定。









