10年ぶりの「ジュリア」。廃止の噂がありながらも、実際はまだまだ先がありそうな500馬力越えのFRスポーツ。乗ってみると、かつての親友との再会を果たしたオーナーよろしく、「あれ?」という一瞬の戸惑いがあった後に「ああ、やっぱり君だね!」とすべてを理解した。そうだった。イタリアン4ドアスポーツの真骨頂が息づく、唯一無二のセダンなのだ。
愛さずにはいられない、「ジュリア」という宿命
実際、購入する人の中には、もう3台目という先輩もいるだろう。間違いない。愛さずにはいられない理由があるから。「ジュリア」は誕生からしてドラマチックで、開発の指揮を執ったのはフェラーリの技術部長だったフィリップ・クリーフ。ブランドとして初の後輪駆動のスポーツセダンは、ステルヴィオやマセラティにその血を分けた、ジョルジオ・プラットフォームが採用された。
「おお、ジョルジオ……」、乗った瞬間からわかるイタリア印で、ジャーマンスポーツへの明確なアンチテーゼが含まれていた。開発費が莫大だった割に、いまだ回収しきれていないらしいジョルジオだけど、BMWの「M3」なんかと比べるとその違いははっきりしている。
まず骨格であるフレームがしなやかで、ステアリングは軽快そのもの。後輪駆動のメリットを前面に出していて、峠を攻めていても乗り心地のよさは失われず、クラシックなスポーツカーの趣きがある。2024年のマイナーチェンジではリアのE-デフを、あえて機械式に変更してドリフトしやすくしたりもしている。こういう美学は熟成を重ね、既に爛熟の域といえるだろう。
官能が弾ける、500馬力のイタリアンFR
さっそく峠でドライブモードを「レース」に入れてみる。うん。さながら沢田研二の代表曲「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」だね。
クイックなステアリングに路面のざらつきが伝わってきて、ゴム鉄砲を引き絞ったような、はちきれんばかりのパワーが解放される。軽量化をやるだけやった上で、俺のすべてを魅せる気マンマン。パワーバンドの4000回転から6000回転ぐらいが一番楽しくて、パドルシフトで波を乗りこなしていけば、ドリフトへの誘惑はいかんともしがたくなる。
沢田研二のダンスを見ながら、「ガソリンくさいクルマですね!」と喝采を叫ぶ、豊田章男会長の顔がなぜだか浮かんできたんだけど、まぁそういうことですよ。
後輪駆動のスポーツカーにおける官能性が溢れ出てしまっている。内装も10年前とほとんど変わらないのに、人工皮革にステッチが刻まれ、握るポイントにはスウェードが仕込まれ、マットなカーボンファイバーと、メタリックなシルバーに輝くビショーネ(紋章)という昔気質の美学に、自分の居場所を見つけたような安堵感を覚える。そして「そのイタリアンに言葉はいらない」と思わずつぶやいてしまうんだ。
そしてクライマックスは、その後にこそあった。峠の下りも終わりにさしかかったとこで、ドライブモードを「レース」から「ダイナミック」に戻すと、ハイテンション極まりない「ジュリア」がすっと真顔に戻る。ローンチコントロールもドリフトもなし。攻める気は起こさせなくとも、十分に速い。
ここで一息とばかりに、サスペンションにソフト設定というのがあるのね。これを入れるとめちゃくちゃよい。すーっと水が沁み込むように、スムーズな足まわりに変貌する。生粋のイタ車好きに言わせると、乗り心地の悪いイタ車は存在しないらしい。乗り心地が悪いとしたら、それはイタ車ではないっていう。まさに、それを地で行っている足まわり。
唯一無二ではあるものの、あえて似た車種をあげると「アルピナ B4 GT」だった。まず、どちらもごりごりの走りモードより、スポーツモードぐらいの走りのバランスに絶妙な熟成の味わいが生まれる。それと両車ともに、純エンジン車ならではの軽さがあった上で、バネの律動を感じられるような、こだわりの足まわりを感じられる。
でも「アルピナ」は、沢田研二ほど自分のすべてを魅せつけようとはしない。「ジュリア」は変わらずジョルジオで、踊るステージはジュリアナ東京(なんてね)。いたく感激した自分は「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」を歌っていたし、10年前も歌っていたなと思い出したんだ。
アルファ ロメオ ジュリア クアドリフォリオ エストレマ
全長×全幅×全高:4,635× 1,865 ×1,435㎜
排気量:2,891cc
エンジン:V型6気筒 DOHC ツインターボ
最高出力:520PS/6,500rpm
最大トルク:600Nm/2,500rpm
駆動方式:FR(後輪駆動)
車両価格:¥14,470,000 ※日本限定46台
アルファ コンタクト
TEL:0120-779-159
www.alfaromeo-jp.com

