デザイン家電の嚆矢として、ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションにも製品が収蔵されるなど、デザイン史に残る数々の名作を世に送り出してきたメーカーがブラウンだ。
同社デザインチームのチーフデザイナーだったディーター・ラムスは、1950年代後半からおよそ40年にわたり、500もの製品を手がけ、一時代を築いた。中でも高い人気を誇るのがブラウン オーディオと呼ばれるオーディオ製品だ。「Less but better」、つまりは“より少なく、より良く”の理念によって生み出されたデザインは、今もなお、多くの人々を魅了する。
年々希少性が高まるこの時代のブラウン オーディオ製品だが、それらが40点以上も集まり、展示販売される待望のイベントが、現在、東京・世田谷区経堂にある「コモン アンコモン ギャラリー」で開催中だ。タイトルは「ブラウン オーディオ ザ フォーム オブ クワイエット Vol.2」。
会場に並ぶレコードプレイヤーやスピーカー、アンプ、ラジオは「コモン アンコモン ギャラリー」の山田直樹さんと並木温男さんが、2025年初冬にドイツ国内を巡って買い集めてきたもので、半分以上はコレクターや昔愛用していたご年配の方など個人から購入している。
1960年代のブラウン オーディオ製品。年代ごとの特徴がよくわかる展示だ。
展示製品の年代もさまざまで、1956年に発表された透明なアクリルと金属、天然木を組み合わせたSKシリーズ、そして、1960年代のアルミニウムを使用したソリッドでミニマムなオーディオシリーズ、さらには1970年代には量産を見据えてプラスチックを用いたスペースエイジなデザインといったように、時代によって異なるブラウン オーディオ製品の特徴を、現物を通して学べる点も、見どころのひとつになっている。
会場に並ぶブラウン オーディオ製品は、すべて日本に到着してから点検、修理を終えたものだ。いずれも外部入力端子があり、ブルートゥースレシーバー付きで販売されているため、誰でも手軽に音楽を楽しむことができる。スピーカーから流れる音は最新のブルートゥーススピーカーとは異なる味わいで、レコードを聴いているかのようなあたたかみやしっとりとしたやわらかさが感じられる。会場では実際に音を鳴らすこともできるので、気になる製品があれば、遠慮せずにスタッフに声をかけた上で聴いてみてほしい。
「デザインの展覧会などで、この年代のブラウン オーディオの製品を見られる機会はありますが、実際に音を聴ける機会はほとんどないと思うんです。だからこそ、会場では実際に音を聴いてほしいし、音を聴くことで印象が変わったり、新しい発見があったりすると思います」と並木さん。インテリアの一部として飾るだけではなく、日常的に使用してほしいと話す。
音に魅了されているのは、山田さんも同様だ。
「個人的にヴィンテージスピーカーが好きなのですが、今回展示しているブラウン オーディオ製品は、僕の中では、音にいなたさがあったり、ほかのスピーカーにはない少し濡れているような音を聴かせてくれる。こういう音が好きな人にはハマるはずです。しかも、それをディーター・ラムスのデザインで聴けるのは、本当に魅力的なことだと思います」
「ブラウン オーディオ ザ フォーム オブ クワイエット Vol.2」の会場に並ぶ、ブラウン オーディオ製品の数々は、通常はデザインミュージアムでしかお目にかかれないような、歴史的な名作ばかり。それらを実際に間近で見られて、さらには音まで聴けるのは、かなり貴重な機会だと言えるだろう。デザインやオーディオが好きな人にとっては特に見逃せない展示イベントになっている。
『ブラウン オーディオ ザ フォーム オブ クワイエット Vol.2』
開催期間:2026年4月19日(日)〜5月6日(水)
開催場所:コモン アンコモン ギャラリー
東京都世田谷区経堂5丁目28−17 美濃三ビル1F
電話:070-1327-7620(並木)
時間:12時〜20時
定休日:木
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