【光る巨大球体】人が吸い込まれる劇場「Sphere」 ラスベガス発、世界へ拡大

  • 文:青葉やまと
Share:

アメリカ

shutterstock_2474907627.jpg
Shutterstock ※画像はイメージです

16K×16Kの超高解像度、16万個のスピーカーに、ハプティック(触覚)技術まで備えた巨大球体「Sphere(スフィア)」。ラスベガスで興行収入世界1位を記録した没入型エンターテインメント施設が、小型版で世界展開を進めている。2030年、ワシントンD.C.にほど近いナショナルハーバーに進出する計画が発表された。

世界最高レベルの没入感を小型版で

巨大な球体に足を踏み入れれば、一面に広がる光と映像の世界。風が頬を撫で、ほのかな香りさえ鼻腔をくすぐる。圧倒的な映像体験で好評を博している、ラスベガスの巨大球体「Sphere」だ。

高さ約112メートル、幅約157メートル。ドームを覆うLEDスクリーンは、スフィア・エンタテインメント社の創設者いわく、「地球上で最高解像度」だという。

約16万7000個のスピーカーが空間を音で包み、大半の座席には振動を伝える触覚技術が組み込まれている。米ワシントン・ポスト紙によれば、眩惑的な映像が動き出すと「他に視線を向ける場所がなくなる」ほどだ。人にもよるが、座席から転げ落ちそうな錯覚に陥ることさえあるという。同社のムーア氏は、「Sphereのコンテンツはショーではなく、体験そのものだ」と語る。

この体験が、もっと多くの街で楽しめることになりそうだ。スフィア・エンタテインメント社は、ワシントンD.C.近郊、メリーランド州ポトマック川沿いのナショナルハーバーに「小型版Sphereとしては世界初」となる施設の建設計画を発表した。

16K×16Kサイズで映像美が迫る

収容人数はラスベガス版の約3分の1にあたる6000席、建設費は10億ドル(約1533億2000万円)超。同社のデイビッド・「ディバー」・グランビル=スミス副社長は、「ナショナルハーバーのSphereには、ラスベガスにあるすべての要素が備わります」と語る。一つのSphereで生まれたコンテンツは、世界中の小型版Sphereで共有できる設計だ。開業予定は2030年を見込む。

収容人数こそ本家ラスベガスに譲るが、そこに凝縮される技術に妥協はない。イギリスの建築デザイン誌デジーンによると、この小型球体は既存のSphereと同じ技術を搭載する。

内部ディスプレイは16K×16K(縦横それぞれ約1万6000画素)の超高解像度だ。本家同様、温度変化を再現する4Dシステムと没入型の特殊音響も備える。

娯楽施設としては大規模なものになり、スフィア・エンターテインメントの試算では、建設期間中に約2500人、運営開始後には4750人の雇用を創出。公式IRサイトによると、開業後の年間経済効果は10億ドル(約1533億2000万円)を超える見込みだという。

ブダビ・韓国へも続々と展開

2023年の開業以来、ラスベガスの本家Sphereは世界の注目を集め続けてきた。スフィア・エンターテインメントによれば昨年、アメリカの音楽業界誌ビルボードとポールスターの会場別興行収入ランキングで、いずれも堂々の世界1位を獲得している。

この勢いに乗り、スフィアはグローバル展開に乗り出している。アブダビでは2号機の建設がすでに進んでいる。さまざまな規模に対応した新たなスフィアも設計が進行中で、どの会場でもラスベガスと同じ没入体験を届ける計画だ。

イギリスの建築デザイン誌デジーンによれば、韓国の河南市では「K-pop Sphere」の建設が検討されている。また、2024年に撤回されたものの、ロンドンで進んでいた計画も存在した。

そして今回、メリーランド州ナショナルハーバーへ展開する計画が、1月18日に発表された。ナショナルハーバーはワシントンD.C.からわずか15分、年間1500万人が訪れる観光地だ。

世界へ展開を続けるSphereに、いつか日本版が登場する日も来るかもしれない。

---fadeinPager---

メリーランド州ナショナルハーバーへ展開予定のスフィア。