スイスの高級時計ブランド「ウブロ」が今年、新たなグローバルブランドアンバサダーとしてBTSのジョングクを迎えた。21世紀を代表するポップアイコンとして音楽史に数々の金字塔を打ち立ててきたBTS。そのメインボーカルであり、「黄金のマンネ(末っ子)」の異名をもつ彼は、グループとしての偉業にとどまらず、ソロアーティストとしても米ビルボードをはじめとする世界的チャートを席巻し続けている。
2月12日に韓国・ソウルで行われたアンバサダー就任を祝うイベントの模様と、現地で行ったジュリアン・トルナーレCEOのインタビューをお届けする。
熱気に溢れたアンバサダー就任イベント
2026年2月12日、韓国・ソウルにて、熱気あふれる就任イベントが開催された。当日のソウルは寒空の下であったが、開始前から会場の外には数多くの報道陣と熱狂的なファンが集結した。ジョングクが姿を現すと一斉にフラッシュが焚かれ、彼は圧倒的なオーラを放ちながら屋外でのフォトセッションに応じた。
その後、熱気はそのままに会場内へと移動し、ウブロCEOのジュリアン・トルナーレとのトークセッションが行われた。ジョングクの腕には、ブランドの歴史と革新を象徴する「ビッグ・バン オリジナル ウニコ」が輝いている。彼は「ウブロというブランドは創造性や革新性がとても素晴らしいと感じており、今回ご一緒することになりました」とアンバサダー就任への喜びを語り、ファンへの感謝を笑顔で伝えた。
今回の就任にあたり、ジュリアン・トルナーレCEOにインタビューを実施した。ウサイン・ボルトやキリアン・エムバペといったスポーツ界のトップアスリートを起用してきたウブロが、今回、世代や国境を超えて絶大な影響力を持つ世界的アーティストを起用した背景には、どのような戦略が隠されているのか。トルナーレCEOが明かした、音楽への回帰とブランドの未来への展望についてお届けする。
---fadeinPager---
感情を突き動かす「音楽」の世界への回帰
ウブロはこれまで、スポーツ界にとどまらず、デペッシュ・モードやDJスネーク、ピアニストのラン・ランなど、音楽界の才能とも力強いパートナーシップを築いてきた。今回、ジョングクを新たなアンバサダーに迎えた理由について、トルナーレCEOは「音楽の世界に戻りたかったからです」と力強く語る。
「音楽は私にとって、人々の感情を突き動かす3つの主要な要素(スポーツ、アート、音楽)の1つであり、非常に重要です。韓国の音楽は現在、世界中で力強く共鳴しています。グローバルな知名度を持つ彼を起用することは、私たちにとって非常に論理的な選択でした」
約18カ月前からコンタクトを取っていたという今回の起用。兵役を経てさらなる成熟を見せ、アジアのみならず欧米市場においても絶対的なプレゼンスを確立している彼に白羽の矢が立つのは、必然の流れだったと言える。
「アート・オブ・フュージョン」の共鳴
ウブロのブランドコンセプトである「アート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)」。ポップス、R&B、ダンスミュージックなど多彩なジャンルを自在に横断し、歌唱のみならずダンスや映像制作にまで類まれなセンスを発揮するジョングクの表現アプローチは、この哲学と深くリンクしているとトルナーレCEOは言う。
「ジョングクのような人が若くしてこれほど成功していることは、彼の強い決意を示しています。パフォーマンスや音楽に多くの創造性を示し、明らかに非常に努力家です。これらはウブロにとっても非常に重要な価値観です」
さらに、彼がステージ上で見せる多才さこそが「融合」そのものだと語る。
「彼は歌、ダンス、そしてパフォーマンス全体、ショーのさまざまな部分をマスターしています。それはまさに『異なるものをマスターする融合』です。新しい素材、ダイナミックなマーケティング、そして時計製造の専門知識をマスターしているウブロとの間には、論理的で素晴らしいつながりがあります。彼のパフォーマンスを見たとき、必ずなにか感じるもの、受け取るものがあり、知らず知らずに反応してしまいますよね? 同様に、ウブロの時計を見たとき、人は冷淡で静かなままではいられないはずです」
ジョングクの表現力豊かなパフォーマンスが人々の心に強い感情を呼び起こすように、ウブロもまた、確かな反応と感情を呼び起こすブランドなのだ。


ウブロは革新的なデザインやダイナミックなマーケティングで知られる一方で、その真髄である「時計製造の専門技術」が必ずしも十分に認知されていないという側面があるという。トルナーレCEOは、わずか46年で業界屈指の技術を獲得した本格的なマニュファクチュールとしての側面を、今年はさらに強く打ち出していくと明かした。
「ラグジュアリー(贅沢品)は、定義上、生活に必要不可欠なものではありません。ラグジュアリーとは、あなたを気分良くさせるものです。ジョングクのようなアーティストは、感情的なつながりという点で、ブランドとお客様の間に間違いなく絆を生み出します。より多くの人にウブロを知ってもらい、感じてもらい、そして欲求してもらうこと。それがこの起用の背後にある本当の狙いです」
将来的には、彼とのコラボレーションモデルが誕生する可能性もあるという。
「スポーツ選手やアーティストの場合、まずはその旅路の中で互いを知っていくことが大切です。そしていつか、一緒に時計をつくることができればと考えています」
伝統と革新を融合させ、常に時計界をリードしてきたウブロ。世界を席巻するポップアイコンとの強力なタッグにより、次にどのような「感情」を私たちに呼び起こしてくれるのか、大いに期待したい。
