昨秋、六本木ヒルズ森タワーで行われた「le19M」とシャネルによる展覧会『la Galerie du 19M Tokyo』。多くの来場者を迎えて成功を収めたこの展覧会がパリ19区に位置する本拠地「le19M」に帰還、パリの視点のもと複数の作品が加えられ、新たな展覧会『Beyond Our Horizons: from Tokyo to Paris』として開催され、話題を呼んでいる。
le19Mは、フランス伝統のサヴォアフェール(手仕事のノウハウ)の継承を目指して、シャネルが1980年代から傘下に集めてきたメゾンダール(工房)を一堂に集め、2022年初頭にオープンした複合文化施設。花細工や羽根細工のルマリエ、刺繍のルサージュやプリーツのロニオンなど、5つの無形文化財企業を含む11のメゾンダールが居を構えており、シャネルだけでなくフランス・モードのエクセレンスを伝統の技術で支える拠点である。構内にあるギャラリーでは、随時展覧会やワークショップが開催され、サヴォアフェールを一般に伝える活動を行っている。
本拠地であるこの地に帰った展覧会には、10の新たなコラボレーションが参加。土、水、火、風、空の5要素をテーマに構成された会場デザインは、東京と同様、田根剛率いるATTA – Atelier Tsuyoshi Tane Architectsの手によるものだ。
アトリエ モンテックスの手による刺繍が施された18代目永樂善五郎の茶碗、メゾン ミッシェルの帽子型から制作された京都・小嶋商店の提灯、染織家石垣明子とルサージュの協働から生まれたのれん……。10人以上のフランスのアーティストの作品も展示され、23年に初代・尾上眞秀の初舞台を記念したグザヴィエ・ヴェイヤン制作の祝幕も欧州初公開された。紙細工から布、陶芸まで、日本の象徴的な伝統工芸とフランスのサヴォアフェールの交流が生んだ作品の数々。フランスのエスプリと日本の感性が共鳴する作品が、見学者を魅了した。
しばしば日仏両国の共通点とされる、手仕事とクオリティへの敬愛。二つの国の感性を結ぶ展覧会は、4月26日までの開催となっている。
『Beyond Our Horizons: from Tokyo to Paris』展
会期:開催中〜4月26日
会場:le19M 2, place Skanderbeg 75019 Paris
入場無料
le19.com