【三軒茶屋の隠れ家カフェ】朝も夜も訪れたい。ベーグルからナチュラルワインまで、“飲む体験”を再設計したコーヒーショップ「サマア」

  • 写真:河内彩
  • 文:Pen編集部
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サマア

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築70年の長屋を再生して生まれた「サマア」の内観。カウンターに差し込む自然光が、朝・昼・夕で表情を変え、時間そのものが空間をデザインしている。

築70年の長屋を再生して生まれた「サマア」は、おいしさを味覚の快楽だけにとどめず、環境や時間、人との関係性まで含めて捉え直す、探究型のコーヒーショップだ。

空間に足を踏み入れると、古材の表情を残した建築と、再生素材を用いた家具が静かに迎え入れる。従業員のユニフォームは古着をリメイクしたもので、インドネシアの河川から回収された再生プラスチックを使った什器とともに、店の哲学をさりげなく物語る。

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スタッフのユニフォームは古着のTシャツを再利用し、シルクスクリーンで新たな表情を加えたもの。ヘンプ素材のエプロンや、インドネシアの河川から回収された再生プラスチックの家具など、思想が細部にまで行き届く。
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店内ではオリジナルグッズも展開。タンブラーやアパレル、コーヒー豆入りのアルミ缶、ブランドの思想をまとめたコンセプトブックまで、サマアらしい色彩で統一されている。

コーヒーの監修を務めるのは抽出家・藤岡響。石臼やイブリックといった伝統的な手法から、超音波ミキサーや減圧蒸留といった科学的アプローチまでを横断し、豆の個性を多層的に引き出す。定番のオリジナルブレンドはもちろん、ミルクの甘みを際立たせた「スーパーミルクブリュー」など、抽出の違いがそのまま体験の差となって現れる一杯が揃う。

フードにも同様の思想が貫かれている。étéco breadが監修するベーグルは、低温長時間発酵によって穀物本来の香ばしさともっちりとした食感を引き出したもの。サワー種を用いた生地に、「トリュフエッグ」や「サーモンクリームチーズ」といった具材を合わせ、軽食でありながら満足感の高い一皿に仕上げている。

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左から、「トリュフエッグ」¥935、「サーモンクリームチーズ」¥1,320、「オリジナルブレンド」¥660、「スーパーミルクブリュー」¥1,320
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全粒粉やライ麦粉、サワー種を組み合わせたベーグルは、香りと風味、食感の立体感が際立つ。約17時間の低温長時間発酵(オーバーナイト中種法)が生む、奥行きのある味わいも魅力だ。

 ここで再設計されているのは、単なるコーヒーの味ではなく、「飲む」という行為そのものだ。自然と人、伝統と科学が無理なく交わるこの場所で、豊かさの尺度を静かに問い直す一杯に出合いたい。

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なるべく手を加えず、ブドウの個性や土地の空気、つくり手の思想を映したナチュラルワインも用意。ボトルでのテイクアウトができるのも嬉しい。

SAMAA_

住所:東京都世田谷区上馬1-33-7
営業時間:10時~22時
無休
Instagram@samaa_coffee