2026年1月22日、中世の教育機関に起源を持つコレージュ・デ・ベルナルダンを舞台に、IM MENの2026/27秋冬コレクションが発表された。テーマは「FORMLESS FORM」すなわち「たった一枚で、ちゃんとしている」。21年のブランド誕生以来、創業者三宅一生の「一枚の布」という思想を受け継ぎ、昨年、パリコレクション(パリ・メンズファッションウィーク)で発表して以来、3度目のパリでのランウェイとなる。
照明の落とされた真っ暗な会場に、ピアノ曲が静かに流れ始める。静まり返った会場に次第に光が灯り始める中、登場したファーストルックは漆黒のジャンプスーツ。テーラードジャケット風のVゾーンから真っ白なシャツのカラーと水玉のロングタイが覗く。カジュアルなアイテムでありながら、タキシードのような正装に通じるキリリとした潔さだ。
デザイン・エンジニアリングを担当する河原遷は、「陶芸作品のワイルドさを衣服に表現しようと考えた前シーズンとは真逆に、シンプルで背筋が伸びるようなコレクションをイメージしました」と語る。背筋の伸びた、凛としたフォーマルウェア。そのコードである素材、襟元の表情、胸ポケット、サイドストライプなどの要素を抽出することによって、一枚の布でも正装のコアな部分を表現できると考えたという。
ランウェイに登場するのは、黒、グレー、ブルーから純白、そしてサンドベージュ。襟元がテーラードジャケット風にアレンジされたブルゾン、ポンチョのような表情を加えたロングコート。グラデーションが美しいダークブルーのスーツは、ワイドパンツに合わせたカマーバンド風の太いベルトがフォーマルな気分を加えている。ダウン風のアウターは、素材の方向性を活かし、縦方向のキルティングが施されている。
一枚の布というコンセプトも、進化を続けている。
「これまでは布が平面であるという前提を崩さずにつくってきたが、今回は布が立体になる。立体的な一枚の布を服にするという考え方にアップデートました」と河原。
ジャンプスーツやブルゾンのリブ状の部分は、実は素材づくりの段階から熱で収縮する糸を加え、造形的なフォルムを作ったもの。身頃や袖にリブを縫い付けるのではなく、ひと繋がりの布地の一部を収縮させることによって、立体をつくり出した。
また、今シーズンは天然素材の質感を大切にしているのも特徴だ。
表はマット、裏は光沢のあるサテンというウール地の二つの表情を生かしたコートやジャケット。日本の毛織物産地、尾州のしなやかなウールが生むドレープが美しいジャケットとパンツは、四角く折りたたむことができる平面的なパターンからできている。どのアイテムにも、それぞれの布の持ち味と表情が生かされている。
やがて静かなヴォーカルがピアノに加わると、まるで黎明のように照明が明るくなっていく。ランウェイには鮮やかな色のストールをまとったルックを皮切りに、ブルーやボルドー、オレンジやフューシャの色が登場する。フィナーレは、日の出とともに変わっていく暁の色合いを手仕事で染め上げたシリーズ。
「1日の境目に現れる暁や黄昏。何かが始まり、何かが終わる特別な瞬間です。その感覚を服に表現したい」という考えが出発点だったという。ブルーからイエローへと次第に色を変えていく暁の空を思わせるコートで、IM MEN 2026/27秋冬コレクションが幕を閉じた。
イッセイ ミヤケ
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