百戦錬磨の酒のプロを唸らせる、 瑞々しい透明感と美しい余韻

  • 文:山内聖子
  • 写真:榊 水麗
  • イラスト:阿部伸二
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青島酒造/喜久醉 純米吟醸 松下米50

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酒蔵の地元、静岡県・藤枝の篤農家として有名な松下明弘が無農薬で育てた山田錦を使用。年に一度しか出荷されない人気の限定酒だ。穏やかな香りと瑞々しい透明感があり、スッと消える余韻が美しい。きめの細かい味も秀逸。どんな温度帯でもおいしいが、少し冷やしたり、ぬる燗にして上品な酒質を味わいたい。つまみは和洋問わないが、白身魚の刺身やカルパッチョ、出汁を効かせた素材を生かす料理などがお薦め。720mL ¥4,400/青島酒造☎054-641-5533

人気の酒番として長年、飲食店や日本酒業界などから引く手あまたの多田正樹さん。料理や器との相性を提案するだけではなく、酒の品質管理や接客指導に至るまで、酒に関係する多くの分野で活躍している。そんな多田さんが「心から飲みたい酒」と推薦してくれたのが、静岡の日本酒「」の純米吟醸だ。

「職業病なのですが、日本酒を飲むとつい味を分析したくなり、頭が仕事モードになってしまいます。なので、実はプライベートで心から楽しめる日本酒はかなり限られるのですが、そんななかで喜久醉は別格ですね。自宅でなにも考えず、普通に晩酌できる貴重な一本です」

その理由は、あらゆる日本酒を知り尽くしたプロにこそ響く、その酒質にある。

「この酒は一見、無個性なんです。これといった強い特徴もなく、たとえばいま流行りの甘酸っぱいような引きが強い酒質でもない。でも、五味のバランスのよさはピカイチで、どんな料理や温度帯にも適応できる柔軟性が素晴らしい。上手に会話の相槌が打てる人のような酒質なので、何時間でも飲んでいたくなります。それに喜久醉はとにかく上品。上等あるいは上質といった言葉がふさわしい酒です」

そんな酒のおともは、お気に入りのラジオ番組、interfmの「TOKYO MOON」だ。

「もう10年以上のヘビーリスナーなのですが、喜久醉はいつもこの番組の放送が始まると同時に飲み始めます。その時々の雰囲気や季節によって変わる、松浦俊夫さんのジャンルにとらわれない詩的な選曲は、最高のひと言。気持ちよくサウンドトリップできるので、喜久醉の上質さをいい感じに底上げしてくれます」

上質な酒と最高の音楽。多田さんにとってこの組み合わせは、仕事をすっかり忘れさせてくれる「ノーストレス」な心地いい時間なのだ。

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酒の味をさらに高めるシネマティックな音楽

ラジオ番組「TOKYO MOON」は、「聴いているだけで自然に映像が浮かぶシネマティックな選曲がたまらない」と多田さん。喜久醉と合わせれば相乗効果で最上の時間に。

多田正樹

数々の会席料理店で酒番の腕を磨き、料理と日本酒と器のよき組み合わせを提唱している。現在は人気の酒番(燗番)として、さまざまな料理人や古美術ギャラリーとコラボしたイベントでも活躍中。
www.tadamasaki-breath.com