「やっぱり、スポーツカーをつくらないとな」と、納得させられたのが、トヨタ ガズーレーシングが「東京オートサロン2026」で一般公開した「GR GT」だ。

メルセデス・ベンツにはAMG GTがあり、シボレーにはコーベットがある。スポーツカーの市場は大きくないものの、ブランドイメージには大きく寄与しているはずだ。
日産自動車の「GTR」も生産中は、同社のブランドイメージを引き上げるのに多大な貢献をした1台だ。
そこにあって、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を掲げるガズーレーシング(GR)が送り出すのが、GR GT。プロトタイプは、25年12月に発表された。
新開発のV8ハイブリッドエンジンをミドシップした、この2シータースポーツカーの計画を知って、驚き喜んだのは、私だけではないだろう。

東京オートサロン2026(TAS)で大きな展示面積を占めていたGRのブースは、100台限定の「GRヤリス MORIZO RR」をはじめ、モータースポーツ関連の車両が並べられていた。

そこでひときわ強い存在感をはなっていたのが、GR GTと、そのレース仕様「GR GT3」。来場者で黒山の人だかりになっていた。
GR GT3は、GR GTをベースにしたレーシングカー。市販車をベースとするカスタマーモータースポーツのトップカテゴリーのFIA GT3規格に沿って開発。「レースに勝ちたい人に選ばれる」(GR)とされている。

TASは、そもそも“カスタムカーの祭典”などと呼ばれたショー。市中のチューニングショップが、レース用のカスタマイズを施した自慢のクルマの展示を行ってきた。
最近でこそキャンプやアウトドア志向の出展が増えたものの、参加する自動車メーカーの出展車両は、相変わらずモータースポーツ関連のものが多い。
「一般の自動車ショーに対して(モータースポーツと)焦点がしぼれて、アピール性も上がるのがTASに参加する意義です」
日本の自動車メーカーの担当者は、上記のように、展示車両をモータースポーツ関連へとしぼりこむ理由を語っている。

「GR GTとGR GT3は、かつてのトヨタ2000GT、レクサスLFAに続くフラッグシップの位置づけ」とは、GRが用意したプレスリリース内の文言。

「“トヨタの式年遷宮”として、“クルマづくりの秘伝のタレ”を次代に伝承することも開発の狙いのひとつです」
TASにおけるGRのプレス向け発表の場に姿を見せたトヨタ自動車の豊田章男会長は、上記のように語る。

豊田会長の発言にある「式年遷宮」の意味をごく簡単に解説しておくと、伊勢神宮で見られるように、社殿や神宝などをすべて新しく作り替える儀式。
宗教的な意味も込められている一方、社殿を新設することで、たずさわる宮大工の技術を継承していく意義もある。
おそらくそちらのことと、スポーツカーづくりを二重写しにしたのが、「式年遷宮」発言の真意だろう。
「レクサスLFAの開発に携わったベテランから若手へ技能・技術を伝承しながら、クルマのパフォーマンスを高めるためにトヨタ初の新技術を積極的に取り入れ、いままでにない数多くのチャレンジを重ねて誕生しました」
GRでは、今回のGR GTの開発背景について、上記のように言及している。
プレスリリースによると、新開発の4リッターV8ツインターボと1モーターのハイブリッドシステムを搭載。システムの最高出力は650ps以上、システム最大トルクは850Nm以上(開発目標値)だが、パフォーマンスはもとより、低重心、軽量・高剛性、空力性能の追求の3つのキー要素にもこだわったという。
GR GTのために、トヨタ初のオールアルミニウム骨格が開発された。かぶせるボディは、炭素樹脂を中心としており、まるでレースカーだ。

形態は機能に従う、としたのは、米国の建築家ルイス・サリヴァンだが、GR GTはまさにそのとおりの出来。
「通常の車両開発ではクルマの外装デザインを決めてから空力性能を考慮していきますが、GR GTでは空力性能の理想像を定めてからデザインの検討を進めました」とされる。
発売時期については、2027年頃を目指しているとのこと。楽しみにに待ちましょう。









