いまの自動車界で生き残っていくために、メーカーにはなにが必要か。こう尋ねると、多くの経営者が「スピード」と答えてくれる。
良いことか悪いことか。判断は措くとして、トレンドに先鞭をつけたのは、中国の自動車メーカーだ。
市場が欲しがっているものを、的確なタイミングでポンッと投入する。強力なマーケティング能力といえばいいのか。

自動車界の在り方を変えるんじゃないかとまで言われている。代表的なメーカーのひとつが、深圳に本社を置くBYDだ。
いつもニュースを提供してくれるメーカーで、最新のおどろきのひとつが、日本市場向けに軽規格のBEV(バッテリー駆動EV)を開発し、26年に導入するという発表だ。
事前情報がなかったので、このニュースは晴天の霹靂(へきれき)だった。
日産「サクラ」、ホンダ「N-ONE e」、同「N-VAN e」と、徐々にだが、しかし確実に増えつつある軽BEVの需要に合わせて速度感をもって開発したモデルだろう。
もうひとつのトレンドがハイブリッド、あるいは外部充電可能でバッテリーによる走行距離が長めのプラグインハイブリッド(PHEV)。こちらも対応がすばやい。

それが2025年12月に日本で発売開始されたPHEVのSUV「シーライオン6」だ。
お買い得のある製品をバリュー・フォー・マネーと評するが、乗った印象はまさにそれ。よく走るし、快適で、燃費がよい。そして価格がこなれている。
「(BEVの市場が大きな)中国でも、エンジン車からいきなりBEVにせず、まずプラグインハイブリッドという人も一定の割合でいます」
そう語るのは、深圳のBYD本社でエンジン開発を担当するルー・チャオ氏。新型PHEV「シーライオン6」が2025年12月に日本で発売されたタイミングで来日した。

シーライオン6は、1.5リッターエンジンを使ったプラグインハイブリッドのSUV。前輪駆動と全輪駆動の2本立てで、バッテリーだけで約100kmの走行が可能とされる。
BYDは、日本ではBEVのメーカーと捉えられているが、実際は、BEVとPHEVの販売比率は半々という。
驚きは価格設定だ。まず導入された前輪駆動版は398万2000円。のちに発売される全輪駆動車(ターボエンジン)でも448万8000円。
たとえば、トヨタ「プリウスPHEV」(前輪駆動)は466万3900円、4WDの「ハリアーPHEV」は631万5100円と、だいぶ開きがある。

装備がだいぶ簡略化されているかというと、そんなことはない。
3基のフロントビューカメラをはじめ、4基のサラウンドカメラ、それに、3基のミリ波レーダーを搭載。時速0〜150kmで使えるアダプティブクルーズコントロール、車両前後のクロストラフィックアラート、ブラインドスポットインフォンメーション、自動緊急ブレーキなども機能させている。

15.6インチのセンターモニターがダッシュボードに据え付けられ、「ハイ、ビーワイディー」の呼びかけで起動する会話型コマンドも可能。「Apple CarPlay」と「Android Auto」も標準装備だ。
私が運転したのは前輪駆動版。駆動用バッテリーの持ちがよくて、エンジンがかからなかった。BYDオートジャパンの技術者が無理にエンジンを始動させてくれたほどだ。静かである。

走行中も、アクースティックグラスといって、外部からの騒音を吸収するガラスが使われているせいで、かなり静か。ボディ各部の建て付けもよく、上質感がしっかり感じられる。
ただ、路面が悪い場所を通過するときにややショックが大きいのと、ステアリングホイールを切りはじめた時に中立付近でのタイヤの食いつきがよすぎて、多少の慣れが必要だった。

タイヤを替えると印象が変わるだろうか。最初から自分にぴったり合うクルマなんて本当はないので、少しずつ”調整”していけばいいのかもしれない。
BYD Sealion 6 FWD
全長×全幅×全高:4775×1890×1670mm
ホイールベース:2765mm
車重:1940kg
1498cc4気筒エンジン(自然吸気)+電気モーター(プラグインハイブリッド) 前輪駆動
最高出力:エンジン72kW、モーター145kW
最大トルク:エンジン122Nm、モーター300Nm
バッテリー容量:18.3kWh
EV走行換算距離:100km
ハイブリッド燃料消費率(WLTC):22.4km@L
乗車定員:5名
0-100km/h加速:8.5秒
価格:¥3,982,000
BYD Auto Japan
https://byd.co.jp/byd-auto/

