大事故で“半身を切除”した男性に話題騒然。奇跡の生還を果たした今後の人生を語る

  • 文:宮田華子
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shutterstock_2613734023(大).jpegPhoto:Belight/Shutterstock※写真はイメージです

アメリカ・モンタナ州在住のローレン・ショワーズさんは、18歳の時に起きた衝撃的な事故から奇跡的に生還した存在として世界中で注目を集めた男性だ。

フォークリフト事故で重傷を負い、胴体を切断するという大手術を受けた。生き延びた彼は、事故から6年を経たいま、現実の厳しさと向き合いながら新たな人生の局面に立っている。

最近のインタビューでは、結婚生活や家族との関係、将来への思いを率直に語り、「生還」後も続く困難があることを静かに明かしている。

事故の瞬間 ― 仕事現場での悲劇

事故が起こったのは2019年9月。若きローレンさんはモンタナ州で建設現場の作業に従事していた。 

その日は橋の改修工事でフォークリフトを操作していたが、なんと機体が橋から転落。ローレンさんは機体と共に約15メートル下に落下した。

すぐに救急隊によって医療施設へ搬送され、緊急手術が行われた。医師たちは下半身と右前腕の切断、骨折、多数の内臓損傷という極めて深刻な状態に直面し、命を救うために腰部断絶術(ヘミコーポレクトミー)を施した。この手術は体幹以下を切断する極めて稀なものであり、成功例自体が極めて少ないとされる。

大手術後、何とか一命をとりとめたローレンさん。術後のリハビリは長期にわたったが、驚異的な回復力と本人の強い意志もあって予想よりも早く退院を果たした。医療機器や義肢の装着により、自立した生活の一部を取り戻す過程は彼自身と支えるパートナーによってSNSや動画で発信され、多くの支援者を集めた。

家族と結婚 ― 直面する現実 

事故後、ローレンさんは長年のパートナーであるサビア・リーチェさんと絆を深め、21年に結婚した。2人はYouTubeやSNSでリハビリや日常生活を公開し、多くのフォロワーから励ましを受けた。義肢を装着し、車椅子生活を送るローレンの姿は、多くの人々に勇気を与えるものだった。

しかし最近のインタビューで、彼が「家族との関係」に悩みを抱えていることも明らかになった。事故直後周囲の支援が一時的に集中したが、やがて人々の関心は薄れていったという。それは家族であっても同じだった。

あるインタビューでローレンさんは、「自分が死ないと分かった途端に、家族の態度が変わった」と述べ、心の痛みを吐露している。こうした人間関係の難しさは、「奇跡の生還」後も人生が続くこと、そして日々直面する「現実」を浮き彫りにしている。

ローレンさん夫妻はかつて、将来的に子どもを持つことを希望していた。しかしその考えが現実的な理由から大きく揺らいでいることも明かされている。最大の要因は、日常生活における妻サビアさんへの負担と、継続的な経済的問題である。

ローレンさんは現在身のまわりの多くをサビアさんの介助に頼っており、身体的なケアだけでなく、精神的な支えも彼女に集中している状況だという。本人はインタビューで、「この状態で子どもを迎えるのは、妻にさらに責任を背負わせることになり、彼女にとってフェアではないと思う」と語っている。 

また、医療費や生活補助具の維持、収入の不安定さといった経済的な問題も大きい。SNSやメディア露出による支援は減少している。 

生還後も人生は続く 

ローレンさんの人生は、奇跡的な生還によって終わったわけではない。むしろそこから、身体の制約、人間関係の変化、将来設計の見直しといった現実が始まった。

生還とは希望であると同時に、長く続く日常への入口でもある。その事実を、彼の物語は静かに伝えている。

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手術後のローレンさん。@YeyeOba001-Xより

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驚異的な回復と生命力は、多くの人に励ましを与えた。@ango_portal-Xより