ランボルギーニ・ウルスSEが「スーパーSUV」と呼ばれる理由。走りと快適性を確かめた

  • 文:小川フミオ
  • 写真:Automobili Lamborghini
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自動車メーカーの仕事はクルマを売って終わりでない。特にラグジュアリーブランドの場合、ブランドへのロイヤリティを持ってもらう機会と捉えている。

ツーリングやサーキット走行、さらに食事会など、オーナーを対象にしたサービスに熱心に取り組むメーカーが少なくない。

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エスペリエンツァ・テッラは基本的にはディーラーやホームページで参加募集がかけられる。

ランボルギーニが開催する「エスペリエンツァ・テッラ」は代表的なもののひとつだが、これがおもしろい。

ランボルギーニ車で、めったに行けない(行こうとは思いつかない)世界各地の道を走る。希有なドライブ体験ができると評価の高いイベントだ。 

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豪州東の上、ケアンズを含む一帯がクイーンズランド。

私も実は2025年秋、「ウルスSE」で豪州はサウスイースト・クイーンズランドを走る機会に恵まれた。

エスペリエンツァ・テッラは、直訳すると”地球を体験する”。走破性の高いウルスが使われることが多いようで、それでさまざまな道を走る。 

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サウスイーストは山が海岸線に迫っているところも多く、ドライブしていて多様な景色が楽しめる。

長いときは1週間以上のツーリングもあるようだ。今回のブリスベンはもうすこし簡便。2日3日で、クイーンズランド周辺の自然をドライブして楽しもうというものだ。

そもそもブリスベンじたいが興味ぶかい。

1930年代から60年代の建築スタイルを思わせる建物が多く、ゆっくり流していると、道路の左右の景色は目の保養になる。

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クイーンズランドの州都ブリスベンの中心部にはハイライズも多いが、ちょっと外れるとこんな雰囲気の建物が目につく。写真:筆者

そこから、隣接するモートンベイ(Morton Bay City)へと走り、自然へと入っていくのがコースだった。

マウントネボ(Mount Nebo)、マウントグロリアス(Mount Glorius)、ワイベンホー湖(Lake Wivenhoe)へと回り、季節は初夏だったので、鬱蒼とした樹木の間、木漏れ日を感じながら、山道を走った。

そのあとは、ゴールドコーストへ向かった。 

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一時的にマックスパワーを出す「プッシュ・トゥ・パス」ボタンを備えるなどかなり速いが、市街地では快適なのがウルスSE。

タンボリーンマウンテン(Tamborine Mountain)からカヌングラ(Canungra)を経て、広い海岸のあるバーレイヘッズ(Burleigh Heads)に落ち着いた。

レノックスヘッド(Lennox Head)のセブンマイルビーチなる海岸線にも足を延ばした。

ここでは広い砂浜の一部をクルマで走れるようになっている。

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モーターとターボの強力な駆動トルクをうまく制御してセブンマイルビーチを気持ちよく駆け巡り、その性能ぶりを発揮するウルスSE。

日本でも石川県に「千里浜なぎさドライブウェイ」なるクルマで走れる砂浜があるが、セブンマイルビーチはうんと広くてドリフト走行も楽しめてしまう。

山岳路を出ると、道は広くなり空が大きく見えるようになる。途中何度も、コアラの絵の道路標識を目にした。コアラが道を横断するかもしれないので要注意、という意味だろう。

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場所によっては時おり、このような標識を見かける(が、実際に遭遇はできなかった)。写真:筆者

オーストラリアにいるんだなあという感慨が、こんなところで、ふと心に湧き上がったりする。

そういえば、タンボーリマウンテンでランチを食べたレストランの庭には野生のクジャク。人が近づくとオレンジ色の羽根を拡げて飛んでいった。 

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パッと使える操作性の高さはスポーツカー並みだが、デジタル表示のモニターの機能なども向上している。写真:筆者

ウルスSEは、4リッターV8ツインターボエンジンを使ったプラグインハイブリッドの4WD。発進や比較的低回転域での加速はモーターが働き、最大66kmの電動走行が可能。

上の回転域では、大きなターボが力を発揮する。

数値をみると、最高出力が800馬力(588kW)で、静止から時速100kmまで加速するのに3.4秒しかかからない。ちょっと前の「ムルシエラゴLP640」と同等だから驚く。

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林の中の道とはいえよく整備されていてドライブがたのしい。

ランボルギーニは、なので、ウルスをSUVでなく「SSUV(スーパーSUV)」と呼ぶ。

たしかに加速は目覚ましい。まさにランボルギーニのエンブレムどおりの猛牛のような突進力だ。かつ気持ちよく曲がるし、ブレーキのストッピングパワーも超強力。

スーパーSUVたる所以は、しかし、単に性能だけではない、と私は感じる。

余裕あるサイズで、後席も居心地のよい4シーターというパッケージのよさが十分に味わえるのだ。 

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雪や低ミュー路用のドライブモードもあるいっぽう、舗装路用はストラーダ、スポーツ、それにコルサ(レース)とスポーティな設定。

具体的にいうと、快適性が犠牲になっていない。高速では、不快な上下動のないフラットな乗り心地だ。

矢のように走るがステアリングホイールは安定していて、不安感はゼロ。走れば走るほど、クルマへの信頼感が強くなる。

林の中の荒れた路面の道を行くときも、サスペンションがよく動いて振動を吸収。ワインディングロードでの走行安定性にも改めて感心した。

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山に入ると天候はめまぐるしく変わった。

自分のなかでの”ウルス=異次元のSUV”なる像が、520kmを走った豪州のエスペリエンツァ・テッラで、もう一回、上書きされたようだ。

ランボルギーニ ウルス SE

全長×全幅×全高:5123×2022×1638mm
ホイールベース:3003mm
車重:1638kg
エンジン:3996ccV型8気筒プラグインハイブリッド AWD
最高出力:588kW
最大トルク:800Nm
変速機:8段デュアルクラッチ
乗車定員:5名
荷室容量:454l
加速性能:0-100kph 3.4秒
価格:¥31,500,000〜
https://www.lamborghini.com/



小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。