
いまのローファースニーカーブームの火付け役は、間違いなくニューバランスの「1906L」でしょう。
インライン(通常展開の品)から初登場したシルバー、黒の2色をニューバランスの展示会で初めて見たときは衝撃でしたね。
「やば!これ人気爆発する!」と、発売日も発売方法も決まっていない段階で広報スタッフに「ウェブのニュース記事にしたい」と交渉。
Pen Online編集部の担当者さんにもご賛同いただき、めでたく2024年8月に、
【ついに発売日と価格が決定!ニューバランス初の「1906L」ローファーが大人心を鷲掴み】
という記事にしました。
ニューバランスがこのローファーを仕掛けた巧みな戦術についても言及してますので、未見の方はぜひご一読していただければと思います。
(リンクを貼れないもので、記事名で検索してくださいませ)
わたしがこのシューズに食いついた理由は、ゴテッとしたメタリックな「1906」をローファーにしたセンスに惹かれたから。
Y2Kテイストのランシュー、シルバーカラー、革靴への移行気分、こうした24年の時代感覚をすべてぶち込んだ発想力が素晴らしく。
まさに“次世代の革靴”だったワケです。
その後各社から続々とローファースニーカーがリリースされてきました。
選べる選択肢が増えたことは喜ばしいこと。
私的にはいま、普通のローファーに近いシンプルな薄底モデルに惹かれます。
そんな心境のなかで入手した一足をご紹介しましょう。
Bコープ認証(環境や社会に配慮した優良会社に与えられるステイタス)も評判のブラジルのシューズブランド「カリウマ(CARIUMA)です。
ローファースニーカーのモデル名は「CAJU」。

スケボーシューズを得意とするカリウマは選手のサポート活動にも熱心。
24年パリ五輪の「スケートボード男子ストリート種目」にて決勝進出した8名のうち4名に履かせた実績があります。
スケボーシューズの機能は街歩きシューズの機能とは別ものでしょうが、プロが公の場で履くほど品質とデザインに優れているということです。
掲載のローファーのアッパーはリアルスエード(LWG認証)。
高級感のある風合いです。
目を引くのが個性的なインソールですね。
汗を吸うコルクとバイオベースフォームで作られています。
ローテクでもほどよく歩きやすいのは、このインソールに秘密あり。

ヒール部分が分厚く、前足部に行くにつれ薄めに。
前に足を踏み出させる斜めの構造は、現代のランニングシューズにも採用されるもの。
実際に歩いてみると「見た目より歩きやすい」印象。
インソールがふわふわと柔らかく。
さすがに現代のランニングシューズには及びませんが、支障なく歩き続けられるクオリティです。
そういえばインソールを外して気づいたのですが、↓

はみ出た縫製糸をテープ留めで固定させてます。
このプロセスってバッグなら高級品しかやらない作業ですよ。
カリウマの制作姿勢が垣間見えました。

アウトソールは天然ゴムの耐滑タイプ。

ディテールで「いいね!」と感じたのが、ヒール部分の横一文字のつまみ縫い(キッカーバック)。
片足の靴底をここに引っ掛けて押さえればスポッと脱げる、まさしく「Loafer=怠け者」なイージー履き用パーツ。
フィットがゆるいスニーカーでは不必要ながら、これがあると後ろ姿がローファーに見えてくるものです。
内張りがマイクロファイバーで、黒レザーの色がソックスに移りにくいのもいい工夫。
シルエットはさほど細くないですが、甲低・幅広のわたしは通常サイズだとアッパーがきつく履き口が広がりました。
ワンサイズアップで見た目は解決し、あとはインソールの追加投入でフィット感を調整してます。
ローファーは“踵がついてこない問題”が困りものです。
ネットで買いにくい靴ナンバーワンでしょうが、スニーカーですからさほど神経質にならなくてもいいかと。
カリウマ「CAJU」の価格は、税込み2万2千円。
大人の仕事用にもちょうどいいオーセンティックなローファースニーカーです。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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