クルマは、車体の大型化が続いている。大きなクルマを欲しがる新興国の存在と、年を追うごとに厳しくなる衝突安全性、この2つが大きな理由だ。
一方で都市生活者は、コンパクトカーを好む。たとえばフランスやイタリアのように、街路が狭めで、通勤や通学にクルマが必要という国では、マイクロカーというジャンルも人気。

日本もきっと同様だ。だから、軽自動車の開発に力が入る。
いい例が、日産自動車が2025年9月に発売した新型「ルークス」だ。やや遅れて10月に登場した三菱自動車工業の「eKスペース」と「デリカミニ」の姉妹車だ。

乗ると、いわゆる「Kカー」(海外の呼び名)が、いかに進化しているかに驚くのではないだろうか。気持ちよく走ってくれるのが、私にとってうれしい驚きだった。
いま日本で売れている乗用のクルマのうち、4割が軽自動車だそう。経済的な背景もあるかもしれないし、人口の高齢化に伴うダウンサイジングのトレンドもあるかもしれない。
だが乗ると、決してあなどれない。売れるのには理由があると納得するはずだ。

売れている軽自動車のなかでも、ルークスのように全高178.5cmの“スーパーハイトワゴン”というジャンルに属する車両の人気が高い。
どれだけ全高が高いか。同じ身長の有名人を探すと、LAドジャースの山本由伸選手がいる。本人に会って背比べをしたことのある(幸運な)人は数少ないかもしれないが。
全高、つまり天井が高いことのメリットは、いろいろある。

まず乗り降りがラク。室内の広々と感じられる。さらに実用面では、たとえば若めのファミリーだと、子どもを乗せて、チャイルドシートに固定する作業も比較的簡単に行える。
ルークスでは後席シートが32cm前後にスライドする上、格納機能も持つ。

シートを格納して荷室スペースをめいっぱい拡げれば、27インチのカゴ付きシティサイクルも搭載できてしまう。
私が乗ったのは、ノンターボの「X」と、ターボの「ハイウェイスターGターボ・プロパイロットエディション」。ともに前輪駆動だ。
三菱のデリカミニは、砂利や雪道を走れるようエンジントルクを制御するドライブモードを備え、クロスカントリー型の4WD推し。ルークスは三菱車だとeKスペースが直接の競合だろう。

eKスペースは、デリカミニに4WD車が設定されているため、前輪駆動の設定のみ。ターボモデルもない。対するルークスは2つともえらべる。
ノンターボ車のいいところは、ひとつは価格。ベーシックグレード「S」だと167万2000円からだ。
もうひとつの美点は、乗り心地のよさだ。サスペンションシステムの設定がよく、路面に凹凸があっても、ていねいに吸収するので、乗員は不快な思いをしない。

ファブリック張りのシートはシンプルな形状と色づかいに品のよさを感じさせる。室内にはモノ入れなど実用的な工夫も多い。
先述のとおり、さまざまに車内スペースが活用できることを考えあわせると、都市生活者にはいい選択になるかもしれない。
ただしノンターボのモデルは高速が得意ではない。時速60kmぐらいまでは加速感も気持ちよいが、その先は頭打ち感がある。
先行車追従機能や車線維持支援機能の「プロパイロット」も使って、遠出にも、なんていう人には、ターボモデルを薦めたい。

「ハイウェイスターGターボ・プロパイロットエディション」は、スムーズな走りが印象的だ。駆動トルクはどんどんと湧き出てきて、スムーズに速度が上がっていく。
高速道路で交通の流れをリードすることもできそうだ。しかも直進時や、車線変更時の走行安定性も高く、安心感がしっかりある。
カーブを曲がるのも期待以上に楽しい。一方で、乗り心地における快適性は確保されていて、後席乗員にとっても不快ではなそうだ。

このところ発売される日産車では、乗員がクルマ酔いしないよう、さまざまな手立てが講じられている。
ルークスも例外でない。ゆらゆらふらふらしない走行性、ホールド性のよい前後席シート、シャットアウトされた車内の匂い、などがうたわれている。
カメラとレーダーを使った安全支援システムの充実ぶりも特筆点だ。
クルマの周囲360度、路地から幹線道路に出るとき接近してくる車両、車体前部の下の状況、高速では後ろの死角にいるクルマの存在……などカメラの映像で確認できるオプションもありがたい。

日産 ルークス
ハイウェイスターGターボ・プロパイロットエディション
全長×全幅×全高:3395×1475×1785mm
ホイールベース:2897mm
車重:990kg
エンジン:659cc3気筒 前輪駆動
最高出力:47kW
最大トルク:100Nm
燃費:19.3km@L(WLTC)
乗車定員:4名
価格:¥2,249,500
https://www.nissan.co.jp/











