SHIRO初のイノベーティブレストラン「MORISHIRO(モリシロ)」が誕生、北海道の自然の恵みを生かした熊肉料理なども

  • 写真・文:Pen編集部
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「SHIRO(シロ)」の人と環境に配慮した循環型施設「みんなの工場」の真横に建てられた「MORISHIRO(モリシロ)」。

北海道砂川市で創業したコスメティックブランド「SHIRO(シロ)」。これまで、SHIROの製品を製造する工場に、ショップ、カフェなどを併設した「みんなの工場」や、バケーションハウス「MAISON SHIRO(メゾンシロ)」などを通して、北海道の自然の恵みを生かしたライフスタイルを提案してきた。

今回、ブランド初となるイノベーティブレストラン「MORISHIRO(モリシロ)」を「みんなの工場」の敷地内にオープン。プロデューサー、建築家、つくり手など…関わる人物全員が、森との共生を目指している。知識と経験が豊富であるからこそ実現した、新たなレストランのカタチに迫る。

目の前の人と食卓を囲み、語らう空間づくり

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コース1品目に供されたヒグマのポルペッティ(肉団子)。歯応えのあるシイタケとレンコンの食感のコントラストも楽しい一皿。三つ葉の爽やかな香りが心地よい。

モリシロでは薪火料理を中心に、木〜日曜日の週4日ランチコースを提供。単に近年のトレンドと道産の食材を取り入れたわけではない。森と共存し、地元の人々たちの生活にも深く結びついている。

ヒグマやトドマツ、ヨモギなどの森の恵みを活かし、さらにメインの魚や肉は見た目の美しさも素晴らしい。その上で、北海道を取り巻く問題と真正面から向き合っているのだ。

たとえば、現在提供されているコースの1品目には、熟練の狩猟家によって仕留められたヒグマのポルペッティ(肉団子)が登場する。「熊」が今年の漢字になるなど話題を集めたが、その味わいは素晴らしく、臭みがなくジューシー。

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脂がよく乗った新鮮なブリを紫蘇の実の蒸留水や柚子の果汁の上澄みでマリネした一皿。仕上げに目の前で柚子とトドマツのミストをかけ、香りを調味料として味わう。

続いてとても印象に残ったのが、刺身や煮物と幅広い料理で親しまれているブリを主役にした一品。近年の温暖化の影響で海水が上昇し、北海道でも水揚げされ食べられるようになったというブリを、あえてコースに取り入れた。トドマツのシロップに漬けたパインと相まって、甘酸っぱい味わいが旨味を引き出している。

しかし、メニューリストにはメイン食材が記載されているのみ。その理由を尋ねると、SHIROのブランドプロデュサー、今井浩恵はこう語った。

「私たちが深く関わっている林業、農業、漁業などの第1次産業は、生活を支える重要な産業です。しかし日々の暮らしの中で、その接点は少ない。だからモリシロでは、お客様に興味を持ってもらうため、小難しい説明はなしに必要な情報をお伝えできるレストランになりたいのです」

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森への想いによって実現した、新たなレストランのカタチ

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レストランと料理の監修を手掛けるのは、道産子ガストロノミーの草分け的存在としても知られる、高尾僚将シェフ。札幌市にある自身のレストラン「TAKAO(タカオ)」で、“北海道の森を料理する”というコンセプトを掲げている。アイヌの人々に学び、自ら山で採取した森のスパイスを活かしたイノベーティブな料理は、国内外のゲストを魅了。2017年、北海道イタリアン史上初のミシュラン一つ星を獲得。2023年には、ITALIAN WEEK 100「ベストシェフ賞」を受賞している。

モリシロの料理は、素材の調達だけでなく、その調理法まで背景がある。たとえば薪火料理につかう薪には、地元の木こりたちが伐採した間伐材のみを使用している。

間伐材とは、森林の健全な育成を目的に不要な部分のみ伐採した木材のこと。間伐を行うことで、森林破壊を防ぎ、害獣問題にもよい影響を与える。こうした間伐材は資源として活用されないことがしばしばだが、モリシロでは料理から建築まで、あらゆる場で有効活用しているのだ。

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レストランに用いられた建材はすべて国産。こちらも北海道近郊の間伐材を使用。建築は北海道在住の建築家、鈴木理が担当した。

さらに、つくり手たちが薪火で調理する食材に合わせ、使用する木の樹種も細かくリクエストしているというから驚きだ。

高尾は「針葉樹なのか広葉樹なのか、熱を加えた時の水分量などで味わいや、焼き上がりが変わるのです。木こりのみなさんには面倒な相談をしていますが、日々、コミュニケーションをとっています。昨晩も試作した料理食べてもらいながら、相談したばかりで(笑)。みなさんとやりたいことが尽きないですね」と話す。

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レストラン内には、スタッフが北海道の山々で採った樹木や野草の調味料が所狭しと並ぶ。植物の使いにくい固い茎や枝部分は蒸留したり、オイルに漬け込むなどして、植物のポテンシャルを引き出している。

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あらゆる角度と可能性から探る、自然の恵み

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コース中に供される香りは、ハンドクリーム、ミスト、パフュームなど手法はさまざま。すべてのプロダクトは着色料不使用だという。

モリシロでの食事体験は味覚だけにとどまらない。ハンドクリーム、ミスト、パフュームなど、さまざまな手法で供される香りと料理のペアリングも楽しみのひとつだ。

この香りは、今井と高尾がプロデュース。料理だけでなく、その背景にある香りも堪能してほしいという想いから、シロがこれまでつくり続けてきた香りのノウハウを活かし、コースメニューにあわせて開発している。

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コースの最後に行われるハーブティーのブレンド体験では、北海道で古くから飲まれてきたナギナタコウジュのお茶をベースにつくり手たちが焙煎したクマザサやハーブを組み合わせることができる。

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北海道という地と、徹底的に向き合う覚悟

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シロのブランドプロデューサーの今井とレストランと料理監修を手がける高尾は、ふたりとも北海道・旭川出身。北海道の自然への想いから、たちまち意気投合したという。

今回のオープンに際して最も苦労したのが、北海道を拠点に、徹底的に地域と向き合うことのできるシェフを探すことだった。今井はおよそ2年もの月日を要したという。

「2年間、有名なシェフのみなさんとお会いしたのでですが、雪の問題や、家族の都合もあったりして、なかなか砂川に移住してシェフをしてくださるという方にお会いできず…。モリシロは有名店にしたいわけではありません。地域とともにレストランを育てければと思います」

来年には、同地にあるホテルをリニューアルしオープンする予定だというシロ。北海道砂川市という地と真剣に向き合うブランドだからこそできる、新たな仕掛けが楽しみだ。

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エントランスには、シロの信念と北海道を代表する樹木キタコブシの枝が飾られている。

MORISHIRO

北海道砂川市豊沼町54-1(SHIRO みんなの工場敷地内)
営業時間:12時〜15時(ドアオープン 11時45分) ※木、金、土、日のランチのみ営業
www.tablecheck.com/ja/morishiro
完全予約制。TableCheckのみで予約可能。