昨年の秋、久しぶりに仕事で和歌山を訪れた。9年ぶりの訪問である。和歌山駅で撮影スタッフと待ち合わせをしていたため、東京から一番列車の新幹線に乗り、向かった。途中、新大阪で特急くろしお号に乗り換えたが、ホーム内の待合室で海外からの2人の女性を見かけた。まだ暑さが残る時季で、2人とも薄手のワンピースにスポーツサンダルという軽装の旅姿だった。共通していたのは、スタイルだけではない。2人とも大きくてごつい、登山にも行けそうなほどのリュックサックを背負っている。日本の女性ならば、こうした旅にはキャリータイプのラゲージを持つ人が多いが、海外、特に若い人たちはこうしたバッグで旅することが多い。そのうちのひとりが使っていたのは、アメリカ・シアトル生まれのアウトドアブランドのREIの製品である。私の大好きなブランドのひとつだ。旅の途中でこういうスタイルの人に会うと、なんとなく嬉しくなってしまう。

REIというブランドと私自身の思い出については、2019年にもこのブログで触れたことがあるが、数か月前、また大好きなREIに出会ったしまった。ちょっとつまみでも食べながら一杯呑みたいと途中下車したターミナル駅のセレクトショップで、バッグ上部のサイドに蛍光色で「REI CO-OP」とプリントされたバッグを偶然見つけたのだ。しかも、バッグ下部にはスイス生まれのスニーカーブランド、ONのロゴマークが入っている。これも私のお気に入りのブランドで、クッション性が高く、長時間履いても疲れにくいため、最近はこればかり履いている。
バッグをチェックしていると、スタッフの方が近づいて来て、「これはREIとON、それにビームスの3者コラボレーション商品で、今日発売されたばかりなんです」と説明してくれた。バッグ以外のアイテムは用意されており、Tシャツやスウェットシャツの背中には、ONの故郷スイスのマッターホルンや、REIの故郷シアトルのレーニア山や日本の富士山まで描かれている。ONの愛用者としては「Cloudultra 3」というコラボの限定トレイルランニングモデル(インソールに3社のマーク入り)も非常に気になったが、昨年の和歌山行きの途中で見た旅人の記憶が強く残っていたこともあり、このバッグを買い求めた。
帰宅後、REIの本国サイトを確認すると、現地でも今回のコラボレーションアイテムの情報がすでに掲載され、販売もされていた。つまり、日本限定のドメスティックなコラボレーションではなく国際的な企画であるということだ。また、限定スニーカーやバッグはONの国内サイトにも掲載されていた。私が購入したバッグは「Speed Pack 18L BEAMS REI」という名称であることも、そのときに判明した。
私がこのバッグを選んだいちばんの理由は、軽量であることだ。最近は重たい服を着るのも嫌だし、バッグもできるだけ軽いものを選ぶようにしている。トートバッグなど手で持つものよりも背負うタイプが好みだが、バッグ自体が重いと、そこに荷物を入れた時点でさらに負担が増え、持ち運びがつらくなる。ONのサイトによれば、このバッグの重量は447g。これはいい。モデル名にある通り、容量は18リットルである。メインコンパートメントはひとつだけだが、開口部が大きく、出し入れがしやすい仕様になっている。内部に小さなポケットが付き、外側からそこにアクセスできる設計のため、スマートフォンや財布、名刺入れなどを簡単に出し入れすることができる。デイリーで使うのには申し分にない大きさとシンプルな構造であるが、ショルダーストラップにはチェストストラップが付き、ウエストストラップまで装備されている。アウトドアシーンで背負っても、バッグが過剰に揺れることはなさそうだ。
購入から約2ヶ月間経過したが、すこぶる調子がいい。背中のパッドには通気性がある素材が使われているのか、汗をかいても背中に張り付くことがない。日本ではバッグを頻繁に担いだり下ろしたりする場面が多いが、メッシュ素材を使った薄手のショルダーベルトはむしろ使いやすいと感じた。バッグの上部と下部の両方には、クライミングロープを使ったハンドルが付いており、これも大きくて持ちやすい。
このバッグの外側には、縦に大きく開くジッパー付きのフロントポケットが設けられている。私はこれまで、このポケットを使ったことがなかったが、登山の際に携帯するレインコートや、脱いだあとのウエアを収納するためのスペースだろうと勝手に想像していた。ところが先日、撮影で出会ったモデルのSさん(彼はトレイルランナーで、いつもONのシューズを履いている)にこのバッグを見せたところ、「これ、シューズバッグが付いているモデルですね」と即座に指摘された。どのサイトにも明記されておらず、それを目的に開発されたかどうかはわからないが、試しにONのシューズを入れてみると、確かにぴったり収まった。私は日常的に走るわけではないので、ここにシューズを入れる機会は少ないかもしれないが、彼のようなランナーにとっては、非常に実用的なデザインといえる。自分なら何を入れるだろうかと考えた結果、冬にはずして持ち歩くことが多い、帽子やマフラー、手袋などを入れてみようかと思っている。
私が最後にREIのショップを訪れたのは、2017年のことだ。ニューヨークソーホーにある大型店舗で、アウトドアスポーツのギアやウエアが何でも揃うフラッグシップショップだった。購入時に会員かと聞かれ、40数年前に会員になっていると伝えると(会員は値引が受けられるらしい)、スタッフが長時間コンピューターで調べてくれたが、私の名前は見つからなかった。もちろん会員でなくても買い物はできる。そのときには友人へのお土産としてロゴ入りのドリンクボトルなどの雑貨を購入したが、オリジナルのバッグやウエアまでは手が回らなかった。シアトルの本店には、店内にクライミングが出来るピナクルが設けられている、巨大な店舗があると聞く。REIは全米には100店舗以上を展開するアウトドアブランドだ。ニューヨークやシアトルでなくても構わない。またどこかのショップを訪れてみたい。旅先で新たなREIのアイテムに出会ったら、それ以上の喜びはないだだろう。本国のサイトは、https://www.rei.com。気になる方はぜひチェックしてみてほしい。
