菓子、茶、料理、器と日本の伝統文化に基づいて、現代の暮らしの作法を提唱してきたOGATA。2020年からはフランスにOGATA Parisを開店し、世界中の人々と「おもてなし」の文化を共有している。そんなOGATAが新たな日本酒の楽しみ方を提案する。

その酒の誕生は、OGATA Parisの開店準備をしていた10年前にさかのぼる。

「海外に日本の文化を発信するにあたり、料理に合わせる酒を考えたとき、和食はもちろんのこと西洋、中東、アジアと、どんな料理にも合うものをつくりたいと思いました」と話すのは代表の緒方慎一郎。日本各地で守られてきた伝統の食材と生産者を訪ね、そこから着想した四季折々の料理を東京の八雲茶寮や、HIGASHI-YAMA Tokyoで展開してきた緒方が考案したのは、アッサンブラージュの技法を使った酒だ。

 「アッサンブラージュはワインなどでおなじみの、数種の酒をブレンドする技術です。肉料理にも負けない革新的な味わいに仕上がったと思います」

酒づくりのパートナーに選んだのは、江戸時代に金沢で創業した福光屋。米と水だけを使い、自然の力を借りて日本酒本来の旨みを引き出す純米酒に特化した酒蔵だ。熟成期間の異なる個性豊かな日本酒を絶妙な配合で組み合わせた「OGATA SAKE」は、海をテーマにした「OGATA SAKE ワタツミ」と山をテーマにした「OGATA SAKE ヤマツミ」の2種類で展開する。

ワタツミは山廃仕込みの純米酒を軸に、黒麹で仕込んだ長期熟成の純米酒と辛口の純米酒を組み合わせたもの。ドライフルーツやドライシェリーを思わせる芳香な香り、濃厚でありながら昆布のような旨みが特徴だ。黒麹由来の酸味もあるので、鮭のバターソテー、エビのナンプラー炒めといった料理とも相性がいい。

一方のヤマツミは、30年以上熟成させた貴重な純米酒を軸に、華やかな大吟醸酒や年代の異なる複数の個性豊かな熟成酒をブレンド。果実味と柑橘系の酸味、スパイシーな香りのある複雑な味わいは牛カツや四川麻婆、チーズやショコラテリーヌまで、守備範囲の広い一本。

食生活が多様化した現代において、どんな料理とも相性がよく、また食前酒や食後酒としても楽しめるOGATA SAKEは、日本酒の新たな楽しみを広げてくれる。伝統と革新を続けるOGATAの精神を凝縮した新しい酒で、自然に寄り添う日本の食文化に思いを馳せたい。 

OGATA SAKEは2025年12月1日よりHIGASHIYA GINZA、SABOE TOKYO、八雲茶寮、HIGASHI-YAMA Tokyoにて販売中。それぞれの味わいを引き立てる2種の冷酒グラスもラインアップされる。