金山から極上海鮮丼まで、佐渡島で訪れたい5つのスポット

  • 写真・文:鈴木修司
Share:

ビームスジャパンの鈴木修司です。

今月の旅の舞台は、新潟県は“佐渡島”。新潟県にありつつも、京都や江戸からの影響が強く残り、独自の文化を形成する地域です。その理由としては、主に江戸時代に栄えた“北前船”の航路の中で重要な場所にあったこと、何より“佐渡金山”が有名ですが日本屈指の金銀の鉱山があったこと、それらもあって徳川幕府の直轄地である“天領”だったからです。ざっくりとした歴史の説明で恐縮ですが、日本の中でも特別な地域であったことは間違いないのです。

この旅は、佐渡ならではの歴史を探り、往時の反映や浪漫を体感するものとなりました。現代の足(ジェットフォイル船)を利用して新潟港から両津港へ入りましたが、すぐに向かったのは北前船の寄港地であった“小木港”です。また拙い説明ですが、北前船とは江戸時代中期から明治時代初頭までに盛んだった蝦夷地(北海道)と大阪を結ぶ日本海から瀬戸内海を走った商船のことです。各地から名産品を買い付け、各港で商売しつつ、商都であった大阪に北国の貴重な産品を輸送する、当時では最先端で最大規模の船によるものでした。

1.千石船に驚かされる“佐渡国小木民俗博物館”

佐渡国小木民俗博物館.jpg
千石船.jpg

 その歴史と名残を探るため、早速に“佐渡国小木民俗博物館”を訪問します。館内に入って、いきなり強烈なパンチを頂きました。米を千石(約150トン)積んだという“千石船”の再現である“白山丸”が博物館に収められているのですが、大きな建物ギリギリに鎮座し、私のカメラでは全景を収めることが出来ません。現地の実物の印象は強烈で、これを見るだけでも佐渡に行く甲斐があるのではないかと思うぐらいに感動しました。もちろん船に登ることも、船中に入ることも出来ますし、皆さんも想像以上に感動すると思うのです。せめてなので、展示品にあった木製ミニチュアの写真も紹介するので、全貌を目一杯に想像して頂ければと思います。

千石船2.jpg

 加えて、こちらの博物館が素晴らしいのが、北前船で日本各地から集まったと思われる民具の蒐集量です。この博物館設立の提案をされたのが日本屈指の民俗学者である“宮本常一”さんと聞けば、その収集品の量と内容に納得でした。ぜひぜひ訪れて頂きたい場所です。 

佐渡国小木民俗博物館2.jpg

2.“宿根木”の歴史的な街並みを歩く

宿根木.jpg

次に向かったのは、小木港からほど近い入江の周辺に栄えた集落である“宿根木”です。歴史好き、古い建物好きの方には有名ですが、北前船や佐渡金山に纏わる見所の多い、他の地域にはなかなかない貴重な街並みです。実際に住まれている方もいるようで、ただの史跡ではなく、江戸時代から営みが続いていることに、また感動を覚えたのでした。それと、名物である“たらい船”(とは言いつつ、大きな“たらい”)に乗って入江内の海上散策もできるので、合わせてオススメです。 

3. 極上海鮮丼に出合う“長浜荘”

長浜荘.jpg

 そして、待望のお昼ご飯です。佐渡に来たならば海鮮一択で、目当ての“長浜荘”へ伺い、迷わずに特上海鮮丼を注文しました。びっくりするくらいの“盛り”ですが、何よりもネタの種類の多さが魅力です(もちろん粒揃いに美味い!)。何種類もの魚、貝、蟹、海老、烏賊、蛸、ざっと数えただけでも10種類はゆうに超えて、これぞ日本海の幸!と言わんばかりの極上海鮮丼でした。

4. “佐渡金山”で人間のチカラを再認識

佐渡金山.jpg

大満足の昼食後に、大切な商談も無事に終えて、この日は佐渡で一泊。翌日、湖畔にある宿を出て向かったのは、十数年ぶりの“佐渡金山”です。真っ二つに割けたかのように掘り進められた跡が目立つ山並みが目に入るのですが、人間の力って凄いなと改めて実感です。跡地施設としては、江戸時代と比較的近代の頃の、二つの鉱山の実態を学べるので、地下空間の散策がてらに満足の内容でした。 

佐渡金山2.jpg

 

5. 往時を偲ばせる“北沢浮遊選鉱場跡”

北沢浮遊選鉱場跡.jpg

それと、佐渡金山の近くにある“北沢浮遊選鉱場跡”という場所もオススメです。まるで映画か絵本の中に迷い込んだかのような幻想的な景色で、元が何のための場所だったのかは関係なく、ただ居るだけで楽しめると思います。日本各地をそれなりに見て廻っているつもりですが、まだまだ知らない、見たことない場所が多いです。簡単に説明するならば、近代の鉱山に見られる製造工程の一部の“浮遊選鉱法”の設備跡地で、現役の頃は東洋一の規模だったそうです。

番外編 “ご当地回転寿司”で佐渡の魅力をさらに満喫

佐渡回転寿司.jpg

 最後にくどく、海鮮グルメの話です。ご当地の回転寿司屋さんが大好きなのですが、島を離れる前にしつこく行ってきました。どれを頂いても美味しかったのですが、寿司職人さんオススメの“生のえんがわ(カレイ)”が特に旨かったです。意外に人生初のものでしたが、絶妙な脂の乗り具合と噛み応えが堪りませんでした。やはり佐渡島は魅力的な場所だと噛み締めながら、東京への帰路に付いたのでした。

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター鈴木修司が日本の魅力を紹介! 

連載記事一覧

鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。

鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。