100年以上にわたり、日本のトラッドを支えてきた〈HARUTA〉が、ブランドを象徴する名作「906」を現代的に再解釈した「LX906」を発表した。学生靴のイメージを超え、いまでは“大人の日常靴”として再評価が進むHARUTA。その遺伝子を継ぎながら、素材、設計、佇まいに至るまで刷新したのが今回の一足だ。
まず目を奪うのは、しっとりと深い艶を湛えるオイルドレザー。柔らかく足を包み込みながら、履き込むほどに美しい表情を育てていく。ライニングと中敷きには牛革を贅沢に使用。素足で触れたときの“余白”のある気持ちよさは、革靴というより、もはや上質な道具に近い。
アッパーデザインは、HARUTAが新しいスタンダードとして据える「H型」。シャープで端正、けれど決して威圧的でない。アクセサリーパーツ「HaruTag」シリーズにも対応し、つけ替えるだけで異なる表情を楽しめる遊び心も備える。履き口にさりげなく走るギザ柄のテープは、クラシックを尊重しながら、軽やかな“今”を香らせる仕掛けだ。
国内生産を貫くHARUTAのローファーは、語りすぎないところがいい。素材が語り、手仕事が語り、履き手の毎日がじわりとその靴を育てていく。「LX906」はその姿勢を継ぎながら、時代にふさわしい快適さとモダンさを纏った、新しいクラシックの形といえるだろう。
変化の早い時代だからこそ、長く寄り添う靴を選びたい。そんな思いに応える一足がここにある。



