10月12日、米オレゴン州ポートランドで、数百人の市民が裸で自転車に乗って街を駆け抜けた。ポートランドでも毎年夏に開催されている恒例イベントなのだが、今回はいつもと様子が異なっている。トランプ米大統領が表明した州兵派遣計画と、連邦機関である移民税関執行局(ICE)に対する「非常事態」としての抗議活動として開催されたのだ。
夏の恒例イベントが緊急デモへ
大勢のサイクリストが裸で街を駆け巡る「ワールド・ネイキッド・バイク・ライド」は、化石燃料や車社会への抗議を掲げて世界各地で行われている有名イベントだ。ポートランドでは今年7月にも開催されたのだが、この秋再び開催されることとなった。目的は、トランプ大統領が9月下旬に州兵を派遣し、ICE施設を「国内テロリスト」から守ると発表したことへの抗議である。
この日は時折雨が降る肌寒い一日だったが、デモは数百人が参加する大規模なものとなった。参加者たちの主な動機は、トランプ大統領がポートランドを「戦争で荒廃した都市」「暴動が起きている州」と表現したことへの強い反発だった。そのためか、いつもの大会参加者とは異なる層も多く参加していたようで、当日の映像を見ると、ほぼ全裸の参加者もいたものの、レインコートや上着を着ている人も多く、着ぐるみ姿やコスプレをしている者たちもいた。
参加者たちは市内の広場からスタートし、街の東西を結ぶバーンサイド橋で「ダイ・イン」(道路に横たわって死を表現する抗議行動)を行った後、最終的にサウス・マカダム・アベニューにあるICE施設前へ向かった。
ICE施設前では、抗議者たちが移民局と州兵派遣に反対するシュプレヒコールを上げた。これに対し、連邦法執行官は群衆に催涙弾やペッパー弾(暴徒鎮圧用の胡椒を詰めたボール)を発射し、デモ隊を建物から遠ざけようとした。現地報道によれば、その場で少なくとも4人が逮捕されたという。
「ポートランドは暴動の州ではない」と反発
参加者の一人は「ここは暴動の州ではない。状況は完全に誇張されている」と述べ、平和的な抗議活動に対して連邦職員が催涙弾などを使用することに憤りを示した。また別の参加者は、「私たちが本当のポートランドの姿を示す最良の方法は、完全に自己を表現することだ」と語っている。
ある女性参加者は、今回のデモを「典型的なポートランドの抗議方法」と呼んだ。気温12度、雨の降りしきる悪天候の中で集まった、文字通り体を張った市民たちの声は、果たして米政府に届くのだろうか。
---fadeinPager---
当日の映像
---fadeinPager---
@theoregonian Organizers of the World Naked Bike Ride scheduled an “emergency” ride Sunday to highlight “the militarization of Portland and the ongoing harm being done to immigrant and Indigenous communities,” according to a joint Instagram post. Riders gathered outside the Oregon Convention Center under gray skies and in just 53 degree weather. Click the link in our bio to read more. 📹 @landwehrphotography & @datguy_eddy
♬ original sound - The Oregonian