【アレクサンドル・デスプラ『パリ=ハリウッド』】作品に奥行きをもたらす、哀愁を帯びた華やぎの映画音楽

  • 文:小室敬幸(音楽ライター)
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【Penが選んだ、今月の音楽】

『パリ=ハリウッド』

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アレクサンドル・デスプラ ワーナーミュージック・ジャパン 2173277573 ¥3,960(オープン価格)

『ハリー・ポッターと死の秘宝』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』など、ハリウッド映画の大作で音楽を担ってきたフランスの作曲家アレクサンドル・デスプラも、いまや64歳の大御所。作品ごとに異なる多彩なサウンドを聴かせてくれるが、本盤を通して彼の音楽にどっぷり浸ると、その本質が見えてくる。かつてのニーノ・ロータのように、コミカルさのなかに哀愁があり、さらにミステリアスな雰囲気で映画世界に奥行きをもたらす作曲家なのだ。一聴してハリウッド的なギャレス版『ゴジラ』さえ実はそうなのだから!