「大人の名品図鑑」ローファースニーカー編 #2
「ローファースニーカー」と呼ばれる新しいタイプの靴が人気を集めている。革靴が持つ正統的な佇まいに、スニーカーのような快適な履き心地を融合させた、まさに現代のカジュアルシーンを象徴する一足だ。今回は、今後の進化にも期待が高まる“新世代の名品靴”を紹介する。ポットキャスト版を聴く(Spotify/Apple)
“北壁”に込められた精神、世界を魅了するアウトドアブランド
アメリカ生まれのアウトドアブランド、ザ・ノース・フェイス。『大人の名品図鑑』では2023年12月に、同ブランドを代表するダウンジャケット「バルトロライトジャケット」を紹介したが、今回はフットウェアの名品を取り上げたい。
ザ・ノース・フェイスは1966年代、アメリカ・カリフォルニアで創業。いまや世界中で高い知名度と人気を誇るブランドだ。日本でも、そのロゴマークを見ない日はないほどの存在感を放っている。ブランド名「ザ・ノース・フェイス(北壁)」は、登山において最も過酷で征服が難しいルートに由来するもの。ロゴのモチーフとなっているのは、カリフォルニア州ヨセミテ国立公園の象徴「ハーフドーム」であり、三本のラインは世界三大北壁——スイスのアイガー、マッターホルン、フランスのグランドジョラスを意味しているという。
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素材開発と技術革新が導く、快適さの新境地
ザ・ノース・フェイスはメンズ・ウィメンズ・キッズまで幅広く展開し、アウトドアウエアやギアのみならず、スポーツや日常使いのアイテムまで豊富なラインナップを誇る。中でも近年注目を集めているのが、フットウェアコレクションだ。
雑誌『OCEANS』ウェブ版の記事で、同ブランドのプレスチームリーダー・宮崎浩氏はこう語っている。「実はシューズ類はザ・ノース・フェイスの得意分野でもあります。さまざまな素材を研究・開発していますから。アッパーからソールに至るまで、最適なマテリアルを使用できるアドバンテージがあります」——長年培ってきた素材研究やアウトドアギアの技術が、フットウェアにも惜しみなく注ぎ込まれている。
そんなザ・ノース・フェイスが今シーズン送り出したのが、同ブランドのウィンターシューズの代名詞である「ヌプシ ブーティ」コレクションから派生した新作「ヌプシ ローファー」だ。実はこの「ヌプシブーティ」は、積雪期にテント内で着用するダウンソックスをベースに、2006年に高所登山時のテント外での行動時用に開発された歴史を持つ。
その後、ゴアテックス搭載モデルやダイニーマ採用モデル、ロング丈やローカットなど、多彩なバリエーションが展開されアップデートを重ねてきた。そして今回の「ヌプシ ローファー」は、その進化の先にある新たな答えとして誕生した。
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老舗が生んだ、冬を軽やかに歩くための定番靴
今回紹介する「ヌプシ ローファー」は、保温性と軽量性を両立させながら、よりファッショナブルに仕上げた防寒型のローファースニーカー。アッパーにはマットな光沢を放つリサイクルポリエステル素材と、上品な風合いのスエード素材の2種類が用意されている。中わたには、濡れても保温性を維持できる「THERMOBALL ECOインサレーション」を封入。冬の街でも快適な暖かさを約束する。
さらに、軽量で反発性に優れた圧縮型EVAミッドソールと、高いグリップ力を誇るラバーアウトソールを採用し、アウトドアシーンからタウンユースまで安定した履き心地を実現。
また、履き口にはエラスティックシューレースを備え、ローファーでありながら甲のフィット感を自在に調整できる点も特筆すべきだ。これはまさに、アウトドアブランドならではの発想といえる。寒い季節でも軽やかに街を歩ける、機能性とデザイン性を兼ね備えたローファースニーカー。老舗ブランドが手掛けた“秋冬の定番靴”にして、今季注目すべき一足だ。
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