シャンパーニュメゾンとして名高いドン ペリニヨンは、7人の世界的クリエイターと展開する新たなクリエイティブキャンペーン「創造は永遠の旅」の幕明けとして、現代美術家・村上隆とのコラボレーションによるふたつの限定商品を発表した。

1668年。フランスはオーヴィレール大修道院のセラーマスター・ドン・ピエール・ペリニヨンが“世界最高のワインづくり”を志したことから、ドン ペリニヨンの歴史は始まった。彼は現在のシャンパンの原型を生み出したほか、異なる産地や品種のブドウをブレンドするアッサンブラージュの製法を確立。ペリニヨンのワインは瞬く間に人々を魅了し、ヴェルサイユ宮殿ではかのルイ14世もその味を嗜んだといわれている。
そんな輝かしい歴史を誇るドン ペリニヨンはシャンパーニュブランドという枠組みを超え、芸術家たちのインスピレーション源にもなっている。バート・スターンが撮り下ろしたマリリン・モンローの写真にも、アンディ・ウォーホルが友人たちとStudio54に集った時も、その傍らにはドン ペリニヨンのシャンパンがあった。そして2005年からはアンディ・ウォーホル、ジャン=ミシェル・バスキア、カール・ラガーフェルド、ジェフ・クーンズ、デイヴィッド・リンチ、レニー・クラヴィッツなど多彩なアーティストたちとのトリビュートやコラボレーションを展開し、彼らとともにブランドの新たな歴史を刻み続けているのだ。
2025年5月より始動したクリエイション「創造は永遠の旅」では、現代美術家の村上隆、女優だけでなく作家や監督としても活躍するゾーイ・クラヴィッツ、ミシュラン三つ星シェフのクレア・スミス、唯一無二の存在感を放つアーティストのティルダ・スウィントン、ダンサー兼振付師のアレクサンダー・エクマン、ミュージシャンでありプロデュース業でも知られるアンダーソン・パーク、そしてミュージシャンに留まらず俳優としても活動するイギー・ポップの7名とコラボレーションし、さまざまなかたちでドン ペリニヨンの過去、現在、未来を表現していく。

そのクリエイションの一環として10月1日から発売されているのが、村上隆がラベルとギフトボックスを手掛けた限定版の「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2015」および「ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2010」だ。ブドウ畑を表した伝統的なシールドラベルや漆黒のギフトボックスには、村上のアイコンである花が大胆にあしらわれ遊び心たっぷりだ。
コラボレーションにあたり村上隆と醸造最高責任者ヴァンサン・シャプロンは、互いのクリエイションに“歴史的な技の継承”や“絶え間ない革新の追求”という共通点を見出したという。村上は自身が提唱する「スーパーフラット」により、日本の伝統的な芸術が内包する平面性や余白の美を、アニメーションやキャラクターを用いたポップアートに昇華しているが、ドン ペリニヨンのヴィンテージシャンパーニュづくりもまた、メゾンの歴史的な歩みの上に調和する、新たな味わいを探る工程なのだ。
そして草花などのあふれる生命力を再解釈し、新たなかたちに築き上げた村上の世界観は、土地のテロワールやその年の気候など唯一無二の自然によって育まれた恵みを、煌めく美酒に変貌させるドン ペリニヨンというブランドを表すにも相応しい。
「ドン ペリニヨンとのコラボレーションを通じて、私はある種のタイムトラベルのような感覚を表現したかったのです。100年、200年先にも意味を持ち、時を超越する存在でありたい。ラベルが時を経て古び、私や子どもたちもこの世を去った後に未来の人々がそれを目にしたとき、彼らの心の中で2025年を再び思い描いてくれることを願っています」と村上は語った。
その年収穫されたブドウのみを8年以上もの歳月を費やしじっくりと熟成することで、収穫年の個性と時の流れが織り成す味わいをつくり上げた、ドン ペリニヨンのヴィンテージシャンパーニュ。
寒暖差の激しい気候に負けない、力強い味わいと独特な口当たりが特徴の2015年ヴィンテージ、そして凍てつく冬と冷涼な春を耐え忍び、2日間で2カ月分もの豪雨が降り注いだ8月を乗り越えた、甘味と酸味のバランスが上質な2010年ヴィンテージ。そのふたつに今年、村上隆が新たな息吹を吹き込むことで完成した限定シャンパーニュには、時を超えた価値が宿っている。


ドン ペリニヨン