【今秋注目の展覧会】アールデコ展3選! ヴァン クリーフ&アーペルからKCIコレクションまで

  • 文:はろるど
Share:
1.jpg
ポール・ポワレ デイ・ドレス(テキスタイルデザイン:ラウル・デュフィ) 1922年頃 京都服飾文化研究財団 撮影:林雅之 ※『アール・デコとモード』展に出展

パリで開催された『現代産業装飾芸術国際博覧会』、通称『アール・デコ博覧会』から100年を向けた今年。当時、世界を熱狂させ、いまもなお現代デザインに息づくアール・デコの魅力を伝える展覧会が、国内各地で開催される。洗練と華やかさに満ちたスタイルの数々を堪能できる、注目の3つの展覧会をピックアップ。

①『永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ』

開催期間:2025年9月27日(土)〜2026年1月18日(日)
開催場所:東京都庭園美術館

2.jpg
絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels

1895年、アルフレッド・ヴァン クリーフとエステル・アーペルの結婚をきっかけに創立された、ハイジュエリー メゾン、ヴァン クリーフ&アーペル。1906年にパリのヴァンドーム広場22番地に最初のブティックを構えて以来、感性を震わせるデザインと独創的な技巧で圧倒的な支持を得ている。そして、飽くなき創造と卓越を探求する中、メゾンを代表する「サヴォアフェール(匠の技)」のひとつのミステリーセット技法が誕生。また、ジップネックレスやアルハンブラ・モチーフをはじめとする作品を通して、見る者を魔法のように魅了する世界を築き上げている。

3.jpg
東京都庭園美術館 本館 大客室 画像提供:東京都庭園美術館

東京都庭園美術館にて開かれる『永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ』では、ヴァン クリーフ&アーペルの「パトリモニー コレクション」、そして個人蔵から選び抜かれたジュエリー、時計、工芸品およそ250点が集う。そこにメゾンのアーカイヴからの貴重な資料約60点が加わり、唯一無二の輝きが会場を満たす。1933年に朝香宮邸として建てられ、現在も竣工時の建築意匠が残る東京都庭園美術館は、国内におけるアール・デコ建築の殿堂。そこにメゾンの精神を映す珠玉の造形が響くことで、建築と装飾芸術が一体となった新たな美の世界が姿を現す。

『永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ』

開催期間:2025年9月27日(土)〜2026年1月18日(日)
開催場所:東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
開館時間:10時〜18時 ※11/21、11/22、11/28、11/29、12/5、12/6は20時まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月、年末年始(12/28〜1/4)
※10/13、11/3、11/24、1/12は開館。10/14、11/4、11/25、1/13は休館。
観覧料:一般 ¥1,400 ※日時指定予約制
https://art.nikkei.com/timeless-art-deco/

---fadeinPager---

②『新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展』

開催期間:2025年10月4日(土)〜2026年1月4日(日)
開催場所:大阪中之島美術館 5階展示室

4.jpg
ユップ・ヴィールツ《ヴォーグ、今年の冬の香水はこれだ》 1925年 サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)

「アール・デコと女性」をテーマとする『新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展』が、大阪中之島美術館にて開催される。本展ではきらめく女性像を描いたグラフィックアートから、ジュエリーや香水瓶、ドレス、そして当時を象徴する車に至るまで、100年前のヨーロッパの華やぎを映し出す貴重な作品や資料がずらりと揃う。さらに通称「アール・デコ博」を実際に飾ったルネ・ラリックの彫像《泉の精 ガラテ》が姿を現し、まるで時を超えて噴水の水音が蘇るかのような体験をもたらす。

5.jpg
ロジェ・ブロデール《温泉地ヴィシー、スポーツ、旅行、劇場(PLM鉄道)》 1928年 サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)

アール・デコ期の女性は、従来の長いスカートや長髪のスタイルから、短めのスカートやショートヘアへと変化し、新しい美意識を体現した。そして自動車や飛行機といった交通手段を利用すると、宣伝広告には最先端の女性像がフィーチャー。さらに職業に就いて社会進出を果たすと同時に、ゴルフやスキー、乗馬、海水浴などのレジャーを楽しむ主役となる。ここではモンマルトルのカフェ・コンセールやムーラン・ルージュで人気を博した女優ミスタンゲットをはじめ、同時代のスターたちをモデルとした大型グラフィック作品も展示され、アール・デコ期の理想のヴィーナスたちの姿を目にしながら、当時のパリの空気を肌で感じることができる。

『新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展』

開催期間:2025年10月4日(土)〜2026年1月4日(日)
開催場所:大阪中之島美術館 5階展示室
大阪府大阪市北区中之島4-3-1
開場時間:10時〜17時(入場は16時半まで)
休館日:月、10/14(火)、11/4(火)、11/25(火)、12/30(火)、12/31(水)、1/1(木・祝)
※10/13(月・祝)、11/3(月・祝)、11/24(月・休)は開館
観覧料:一般 ¥2,000
https://nakka-art.jp/exhibition-post/artdeco100th/

---fadeinPager---

③『アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に』


開催期間:2025年10月11日(土) 〜2026年1月25日(日)
開催場所:三菱一号館美術館

6.jpg
ジャンヌ・ランバン イヴニング・ドレス 1920年代前半 京都服飾文化研究財団 撮影:畠山崇

アール・デコ期の洗練された服飾の「モード」が、絵画や工芸、グラフィック作品などとともに東京・丸の内の三菱一号館美術館に結集する。ここでは世界屈指のファッションアーカイブである京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションより、1920年代を代表するドレス約60点と、帽子、バッグ、靴などの服飾小物を一堂に公開。併せてデュフィ、キスリング、レンピッカらの絵画や版画、工芸品などが展示され、ポワレやランバン、シャネル、パトゥといったパリの名門メゾンが生み出した卓越したドレスと響きあう。100年前のモードと芸術の息吹を味わえる格別の機会が実現する。

7.jpeg
マーク・ジェイコブス ジャケット、パンツ 2014年春夏 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛

アール・デコは1930年代に一度その華やぎを閉じたものの、1960年代に再び脚光を浴びる。きっかけは1966年に開催された「LES ANNÉES 25(25年代)」展。戦後の経済成長や女性の社会参加の機運、そしてミニマルアートやポップアートなどとの芸術的親和性が、この復活を後押しする。またモードにおいてもピエール・カルダンやイヴ・サン=ローランらのミニ・ドレスに、1920年代のスタイルに呼応する簡潔さと装飾性が現れる。さらに2000年代以降もアール・デコ期に見られた服飾と芸術家のコラボレーションを彷彿とさせる、ジャンルを超えた創作の精神が輝きを放つ。こうした現代へと受け継がれるモードの展開も見どころとなる。

『アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に』


開催期間:2025年10月11日(土) 〜2026年1月25日(日)
開催場所:三菱一号館美術館
●東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間:10時〜18時
※1/2を除く金曜、会期最終週平日と第2水曜は20時まで 
※入館は閉館の30分前まで
休館日:祝日・振替休日を除く月、および12/31と1/1
※トークフリーデーの10/27、11/24、12/29と会期最終週の1/19は開館
観覧料:一般 ¥2,300 ほか
https://mimt.jp/ex/artdeco2025/

はろるど

アートライター / ブロガー

千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。

はろるど

アートライター / ブロガー

千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。