【モレスキン・モレスキン財団『Detour』展】隈研吾やアイナ・ジ・エンドらが参加、 創作の原点が詰まったノートブックを一挙公開

  • 文:久保寺潤子
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名だたるクリエイターたちの創作の原点に触れられる。ガラスケースに展示されたノートブックの中には、直接触れてページをめくることができるものもある。

世界中の芸術家や小説家、思想家が愛用する伝説的ノートブック、モレスキン。「クリエイティビティによる社会変革」をミッションに掲げるNPO団体・モレスキンファンデーションは、若者たちの創造性を引き出し社会を動かす意識と姿勢を育てることを目的に、世界の貧困地域で教育プログラムを展開している。同財団による巡回展『Detour』が東京・六本木の21 _21DESIGN SIGHTギャラリー3で9月23日まで開催中だ。

クリエイターの思考プロセスを目撃

 

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建築家・隈研吾のノートブック。スケッチや写真の切り抜きなどが収められている。

 

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アーティスト・ななおろうによる「痒みスケッチ」。見えない神経の蠢きのような感覚を描いた。

本展では、財団の理念に賛同したアーティスト、建築家、映画監督、デザイナー、ミュージシャン、作家に加え、学生や文化団体、若手クリエイターから寄贈されたものの中から41点を紹介。そこには表現の萌芽となるアイデアの断片が自由に書き込まれており、クリエイティビティの原点を見るようだ。シンプルな一冊のノートブックが、描く・切り取る・解体する・再構築するといった創作プロセスを経て、唯一無二のアートピースとして命を吹き込まれているのも興味深い。

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イタリアのアーティスト、ファブリツィオ・コトトーニによるスケッチ。「書物は出合いと交流の場であり、アイデアや思考、希望に形を与える肥沃なプラットファームになりうる」とのコメントが添えられている。
 

 

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ジョルジャ・ルーピによる『生命の書』は、14496日におよぶ全人生を記号で辿り直した作品。

展示アーティストの一例を挙げると、建築家の隈研吾、伊東豊雄、アーティストのローレン・サイ、ジョルジャ・ルーピ、彫刻家の名和晃平、中村哲也、デザイナーの森永邦彦、松本陽介、詩人の吉増剛造、歌手のアイナ・ジ・エンドなど。多様な分野で活躍する表現者が名を連ねているが、いずれも一冊のノートブックに書き留めた言葉やスケッチが創造の出発点であることを教えてくれる。また今後発売予定のMIYAKE DESIGN STUDIOとモレスキンによる新たなデザインツール「NOTE-A-NOTE」も展示。第一印象をそのまま書き留められるようにデザインした新発想のアイテムだ。

 

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切り抜いたり装飾を施したり、クリエイターの個性が一堂に会する様子は圧巻。

 

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三宅デザイン事務所の松本陽介による『視点1|NOTE-A-NOTE』。思考は形を変えながら表現へと昇華されることを暗示させる。

ジャンルを超えてクリエイティビティが交差する本展覧会。創造の翼を広げてくれるノートブックの存在を改めて見直したい。

『Detour Tokyo』

開催期間:開催中〜2025年9月23日(火)
開催場所:21_21DESIGN SIGHTギャラリー3
東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン

モレスキン&モレスキン財団 
www.moleskine.com