新たな電気自動車「ID. CROSS コンセプト」がお披露目
フォルクスワーゲンが、2025年9月7日、「ID. CROSS コンセプト(ID.クロス コンセプト)」を公開した。

ID.クロスは、日本でも人気のSUV「T-CROSS」とほぼ同じサイズ。マッシブな印象のデザインが特徴的だ。
「デザインの肝としては、大きく、幅広く見せたかったんです。実際(の全長)は4m16cmしかないですけど」
そう語るのは、フォルクスワーゲンのヘッド・オブ・デザインを務めるアンドレアス・ミント氏だ。

場所はミュンヘンのメッセ会場。IAA自動車ショー開幕前に行われたメディア向けお披露目の場で、もっとも強調したかったポイントを尋ねるたときの答えだ。
“一体感”のあるデザインが魅力

ID.クロスは、ミント氏の発言にあるように、全長4.16m、全幅1.84m、全高1.59mの比較的コンパクトな車体を、2.6mのホイールベースを持つシャシーに載せたモデル。
デザイン上の魅力は「一体感」だ。少々持ち上げられた車高と、大きな合成樹脂製のオーバーフェンダーやバンパーを持つ。
よくある“急ごしらえ的”なつくりとは感じられない。かたまり感がしっかりある。合成樹脂パーツをとってつけたような印象はない。

「純粋かつ力強く明確なライン、視覚的な安定感、そしてポジティブで親しみが持てるデザインを重視しています」
プレスリリースでミント氏による上記の言葉が引用されている。そして次の言葉が続く。
「このSUVの形状は、トレンドに追随するのではなく、トレンドをつくり出し、ブランドのアイデンティティを未来へと引き継ぎます」
フォルクスワーゲンのアイデンティティとは

フォルクスワーゲンにとってブランドのアイデンティティとは、「安定感」「親しみやすさ」「独自性」と説明される。
ユニークなのは、この「親しみやすさ」のデザイン表現だ。フロントマスクの意匠は「クルマがほほえんでいるように」見せること。

スマイリングフェイスのデザインテーマは、ミント氏がフォルクスワーゲンのヘッド・オブ・デザインに就任した2023年以来、折りに触れて言い続けてきたこと。
「ID.2 all」(25年のミュンヘンにおいてID.ポロとなることが発表された)や「ID.EVERY1(エブリワン)」のメディア向けお披露目の場でも同様のことを聞いた。
ちょっと吊り目のヘッドランプユニットと、両端が持ち上がった上下幅の薄いエアインテークの組合せ。なるほど、それがスマイルなのだ。
ブランドがかける、ID.クロスへの想い

「この車の開発当初から、私たちの目標は、フォルクスワーゲン ・ブランド史上最高のモデルをデザインすることでした」
フォルクスワーゲン・ブランド最高経営責任者であり、ブランドグループにおけるコア責任者を務めるトマス・シェーファーCEOの言だ。

「これまでは上位クラスでしか見られなかった数多くのテクノロジーを採用し、操作性と品質を向上」させるとシェファーCEOは、ID.クロスにかける意気込みを語る。
このさき、「ID.ポロ」「ID.ポロGTI」という、ID.クロスの前に発表されたVWのコンパクトBEVは、26年から順次市場に投入される。

ID.クロスの量産仕様は、2026年夏に公開予定だそう。その後、27年に「ID.EVERY1」(現段階ではコンセプト)の発売が予定されている。
ミント氏がこっそり教えてくれたところによると、ID.クロスのあと、よりスポーティでアグレッシブなモデルも控えているとか。
電気自動車の開発に
フォルクスワーゲンは、このようにバッテリー駆動の電気自動車の開発に熱心だ。
「ただし」と付け加え、シェファーCEOは会場のインタビューでこう語った。
「私たちにとってテクノロジーの重要性とは“人生を快適にしてくれるところにあり”。それにつきます」

気になる日本導入は……?
ID.クロスは日本に導入されるのか。日本法人の広報担当者は「そうなるといいが、現段階では未定」と答えている。
インテリアも空間的余裕がたっぷりあり、デザインも快適志向。たしかに生活を変えてくれそうな可能性を感じさせてくれるモデルなので、日本で“会う”のを楽しみにしよう。

ID.Cross Concept
全長×全幅×全高:4161×1839×1588mm
ホイールベース:2601mm
電気モーター 前輪駆動
システム最高出力:155kW
一充電走行距離:420km(WLTP)
乗車定員:5名
価格:未定
問い合わせ:フォルクスワーゲン・ジャパン
www.volkswagen.co.jp