欧州の自動車大国ドイツで、あっと驚くキッチン家電が発売された。銀色に輝くその外観は、スーパーカーのV8 エンジン(V 型8 気筒エンジン)を思わせるが、実は3Dデザインとビジュアルプリンターを利用して作られたエスプレッソマシンだ。
エンジンからコーヒーが⁉ 芸術家集団の新たな試み
『スジュクV8』と名付けられたこのエスプレッソマシンを世に出したのは、ドイツのベルリンにあるクリエイティブ・スタジオ、スジュク・ウント・ブラートブルスト。3D デザインとビジュアルストーリーテリング(視覚的要素を使ってメッセージを伝える技術)で知られているアーティスト集団で、これまでディオールからナイキまで、幅広いコラボレーションを手掛けてきた。
『スジュクV8』は彼らの作品の中でも、最も“実体のある”ものだという。V8 エンジンのような外観は3D プリント部品で再現されており、車好きにはお馴染みのパーツが目に飛び込む。インテリア関連サイト、ジャスト・スタンダードは、『スジュクV8』は単なるテーブル上のコーヒーマシンではなく、自動車レースのピットストップのようだと絶賛。コーヒーを淹れる工程が、エンジンが動き出す過程へと変貌する創造的な作品だとしている。
高級感溢れる外観、マシン本体はイタリア製
実は『スジュクV8』は、既存のエスプレッソマシンの周りを覆う、部品セットとして設計されている。各パーツはマシンに磁石で装着する仕様となっており、接着剤や穴あけ加工を必要としない。すべてのパーツは取り外し可能で、いつでもマシンを元の状態に戻せるという。
各パーツは研磨と電気めっき処理でクローム仕上げになっており、高級感溢れる造りに。フロントパネルには、操作感の良いボタンと回転ツマミが配置されている。背面にはエンジンを彷彿とさせるかたちのフェイクマニホールドが2基、上部には高性能車から着想を得た特徴的なデュアルエキゾーストパイプとエアフィルターが取り付けられている。スパークプラグの代わりには 8 つのカップホルダーが装備されており、エスプレッソカップを収納できる。本体として使用しているエスプレッソマシンは、世界最高峰のブランドの一つである、イタリアのラ・マルゾッコ社のものだ。老舗ブランドの卓越した技術と、スジュク・ウント・ブラートブルストのアーティスティックな美学が融合したキッチン家電となっており、インテリアとしても鑑賞に堪える逸品だ。
ハンドメイドの限定品! 気になる価格は?
現在のところ『スジュクV8』は限定品として販売されており、価格は1 万2000 ユーロ(約200 万円)と高額だ。エスプレッソカップ、帽子、レーシンググッズ、コーヒー豆が同梱されているが、エスプレッソマシン本体は別売りとなっている。さらに各キットはすべて手づくりということで、納品まで4週間待つ必要がある。コーヒー専門誌、スプルージは、このマシンへの反応はコーヒーの種類と同じで、その人の感性に委ねられると述べている。車とコーヒーが好きな人は恐らく気に入るだろうが、実用性よりは芸術的な側面が強く、しばらくはコレクターやデザイン愛好家向けアイテムに留まりそうだ。
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