
彼が世界の屋根から見たものは何か。東京・六本木のフジフイルム スクエアで、写真家の石川直樹による写真展『ASCENT OF 14, 2001–2024 ― 14座の8,000メートル峰登頂の記録』が9月18日まで開催中だ。
14座、23年の軌跡
石川直樹は、北極から南極まで、地球上のあらゆる極地をカメラに収めてきた冒険者としての面も持つ。本展は、石川が23年間にわたり挑み続けてきた世界14座の8000メートル峰の記録を展示。彼のライフワークともいえる「すべての8000メートル峰登頂」の旅を集大成するものだという。8000m峰14座とは、ヒマラヤ山脈とその北西に位置するカラコルム山脈にある、世界で最も高い山々のことを指す。空に最も近い場所であることから「世界の屋根」ともいわれており、エベレストやマナスルと誰もが知る山々も含まれている。
石川は23歳で初めてチベット高原を訪れ、ヒマラヤへの長い旅への第一歩が始まった。2001年のエベレスト遠征を皮切りに、8000メートル峰14座に登りながらフィルムカメラで撮影を続け、24年のシシャパンマ登頂により、ついに14座の完全登頂を達成した。
写真で捉えた世界の屋根の色
「ぼくは確かにこれらの場所に立ち、写真に写っている風景を見た。ここにある写真群は、小手先の表現などではなく、まごうことなき自分の生の記録である」
今回の展示に添えた彼の言葉からは、彼の人生観そのものがここに写っていることがうかがえる。注目ポイントは、山の麓に写る小さな人々や動物たち。大自然の雄大さを前でも、ちっぽけながらそこに生があることがわかるこれらの写真は、まさに石川が伝えたいことなのではないだろうか。
今回の展示では、極限の自然が鮮やかに浮かび上がるために、約70点の大判カラープリントが並ぶ。中には、初公開となる、2001年のエベレスト登頂時のポジフィルム群も含まれている。
多くの人がなかなか足を踏み入れることができない白銀の高所。その真髄に触れられる瞬間を、ぜひ目にしてほしい。
---fadeinPager---


『ASCENT OF 14, 2001–2024 ― 14座の8,000メートル峰登頂の記録』
開催期間:開催中〜9月18日(木)開催場所:フジフイルム スクエア(東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン)
開催時間:10時〜19時(最終日は14時閉場、入館は閉館10分前まで)
入館料:入場無料
www.fujifilmsquare.jp