“生きたキャンバス”からの転換。全身タトゥーを除去した男が語る選択

  • 文:吉井いつき
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Shutterstock ※画像はイメージです

「ブラジルで最もタトゥーを入れた男」として知られていた男性が一転、タトゥー除去を進めている様子をSNSで公開して話題になっている。彼の人生を変えたのは、思いがけない出来事だった。

全身タトゥーで有名になったものの…


ブラジルに住むレアンドロ・デ・ソウザさん(36歳)は、かつて体の95%をタトゥーで覆い尽くしたと豪語していた人物だ。手足や胴体のみならず顔面にもまるで骸骨のようなタトゥーを彫っており、タトゥーイベントにも度々姿を現して「ブラジルで最もタトゥーを入れた男」の称号を誇っていた。


13歳からタトゥーを入れ始めたというレアンドロさんだが、タトゥーに過度に入れ込み始めたのは10年前の離婚がきっかけだった。妻と別れて自信を失い、それを埋め合わせるように全身にタトゥーを彫るようになったという。


この頃、顔へのタトゥーは無料で、それどころかアーティストからお金ももらっていたという。だが生活は非常に厳しかった。奇抜な見た目のせいで安定した仕事を見つけることは困難で、薬物やアルコールに溺れるようになり、一時期はシェルターに入るほど困窮していた。レアンドロさんはタトゥーに覆われた自分を、「サーカスの見世物のようだった」と振り返っている。

タトゥーへの愛が冷めた瞬間


そんなレアンドロさんの人生に転機が訪れたのは、シェルター生活の中で出会った福音派キリスト教に改宗したことだった。新たな信仰を得て、彼のタトゥーに対する考え方は大きく変わった。愛してやまなかったタトゥーは過去の象徴となり、レアンドロさんはタトゥーを取り除くことを決意した。


レアンドロさんのタトゥー除去は、サンパウロ州のタトゥースタジオが無料で請け負ってくれた。だが、タトゥー除去は非常に強い痛みを伴う。全身にタトゥーのある彼の場合、全て除去するためには8回の手術が必要だという。レアンドロさんは地元メディアに対し、「どれだけ麻酔をかけても本当に痛い。ひどい痛みだ。でも、それは過去にやってきたことへの代償の一部なんだ」と語っている。


レアンドロさんは自身のInstagramアカウントでタトゥー除去の過程を定期的に公開しており、その姿は52万人のフォロワーに衝撃を与えている。現在は5回目の除去手術を終えたところで、ところどころ血のにじんだ皮膚は痛々しいものの、骸骨をモチーフにした顔のタトゥーはかなり消えていることがわかる。タトゥー除去の前後を比較した動画や画像には、「素晴らしい」「おめでとう」とレアンドロさんを称えるコメントが多数寄せられている。


「顔にタトゥーを入れようと考えている人は、本当によく考えてほしい」レアンドロさんは自らの経験と後悔から、若者たちにそう強く忠告している。

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タトゥー除去のビフォーアフター

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タトゥー除去手術の様子

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レアンドロさんのこれまでの変化をまとめた動画