
イソップが9月1日(月)よりフレグランス「アバヴ アス、ステオーラ オードパルファム」を新発売。この製品はイソップのフレグランスコレクションにおいて明確な立ち位置がある。それはブランド初のアンバー系の香りであること。辛口な香り傾向が多いイソップにおいて、温かで落ち着いた印象が際立つ。約5年の間に急速に型数が増えたラインナップのなかでも、「これが一番!」との指名買いファンを獲得しそうな個性派である。

新製品を生み出した調香師は、2015年にイソップ2作目のオードパルファム「タシット」を手掛けたセリーヌ・バレル。タシットは柚子とバジルを打ち出して植物の世界を想起させ、ジェンダーレスなニッチフレグランスの時代の先駆けとなった傑作。一方で彼女のイソップでの調香はここでいったんストップ。そして10年後の25年に、「オルナー」で劇的な復活を果たす。オルナーはツンとするトップノートの爽やかなフローラル系である。今夏の店頭では試した人たちを魅了して完売するほど大人気に。圧倒的な清涼感をもたらすオルナーの香りが、蒸し暑い日本の風土によく合ったようだ。

対する新作「アバヴ アス、ステオーラ オードパルファム」は、夏が過ぎた秋がよく似合う琥珀色の香り。基調となるのはアンバーとカルダモンである。つけはじめはアンバーのディープな奥行きや苦みと、軽い刺激のスパイスが混ざり合う。時間が経つとまろやかな甘さが顔を出し、より穏やかに整っていく。含まれる成分のバニラビーン、フランキンセンス、ラブダナムなどの相互効果だろうか。
調香師バレルはイソップからの「アンバーフレグランスを」との要望を受けて『天空のアンバー』のビジュアルを思い描いた。宇宙空間で星々が眩く光っている様子が香りの着想源である。
現在のイソップのフレグランスには、コンセプチュアルなアート系の香り(「アザートピアス」全6型)もある。選べる幅が増えたことは喜ばしい反面、複雑になった香りに馴染みにくい人もいるかもしれない。そんな人でも今回の「アバヴ アス、ステオーラ オードパルファム」は親しみやすく感じるのではないだろうか。同じ調香師バレルによるタシット、オルナーと同様にシンプルかつ上質で、身体にまとい毎日一緒に過ごすイメージがすっと思い浮かぶ。香りの発散力がイソップの他製品と比べさほど強くないのも個性のひとつ。アンバー系入門者にもトライしやすいに違いない。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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