ハンガリーのレストモッド専門メーカー、KAMManufaktur(カム・マニュファクトゥール、以下「KAMM」と表記)が2025年8月6日、最新作「KAMM 912T」を世界に披露した。
「KAMM 912T」という名前の最後の文字「T」はツーリング(Touring)を意味し、ファクトリーオリジナルの軽快さに快適性を加えた、現代のスポーツツアラーとしての再解釈だ。
クラシックを現代に呼び戻す試み
選ばれた素材は1960年代後半の「ポルシェ912」。人気の高い911よりも軽快でバランスに優れる点に着目し、熟練の技術者がアナログの魅力を生かしながら現代の品質を組み込んだ。主要パネルにはカーボンファイバーを採用し、車重は860kgとオリジナルより約100kg軽量化。美しいシルエットを守りつつ俊敏さを磨き上げた。
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Thanks to Wallpaper for featuring the 912Thttps://t.co/4GGugbGfU0
— KAMManufaktur (@KAMManufaktur) August 7, 2025
心臓部はチューン済み2.0リッター空冷4気筒「616ユニット」。最大出力163hp、最大トルク201Nmを発揮し、日常的な扱いやすさとロングツーリングに適した穏やかな特性を持たせた。排気音も主張を抑え、快適な走りに寄与している。サスペンションにはTracTive製コイルオーバーを採用。さらにBrembo製キャリパーやZF製LSDを備え、ツーリング志向とスポーツ性能が絶妙に両立する。
ツーリングに寄り添う上質な室内
インテリアにはイタリアFusina社製シートやSmithsのゲージを配置。ドアや窓を金属とガラスにすることで静粛性を高め、Bluetoothオーディオやワイヤレス充電といった現代的装備も忍ばせている。クラシックな雰囲気を壊さずに、快適性を静かに底上げするという巧みな演出だ。
KAMM 912T pic.twitter.com/nfDEXwrxF5
— KAMManufaktur (@KAMManufaktur) August 22, 2025
限定生産の「動くアート」
価格は245,000ユーロから(約4,210万円、ドナー車代は別途)で、5台単位の限定生産。予約には10,000ユーロ(約170万円)のデポジットが必要であり、2026年初頭より製造が始まる予定だ。
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— KAMManufaktur (@KAMManufaktur) August 5, 2025
創業者ミクローシュ・カーズマーは「912Tは純粋な走りの喜びを保ちながら、スポーツツアラーとして再構築した」と語る。
軽量な空冷エンジンに洗練された快適性をまとい、クラシックの美学と現代の感性を架橋する「KAMM 912T」。単なるレストアを超え、ツーリングの歓びを味わうための「動くアート」と言えるだろう。