米カリフォルニア州サンタモニカを拠点とする新興カーブランド「ショアライン・べスポーク(Shoreline Bespoke)」が、1960年代のスポーツプロトタイプを現代的かつエレガントに再解釈したモデル「LMクーペ」を発表した。同社初の市販モデルとなるこの車は、総重量をわずか990 kgに抑えた超軽量設計に加え、クラシックな美意識を宿すデザイン。完全受注生産による希少性も相まって、富裕層の自動車愛好家を魅了しそうだ。
60年代プロトタイプの魂を現代に
ポルシェ906やフェラーリDino 206 SPなど往年のレーシングプロトタイプに影響を受け、ミニマルなコックピットとコンパクトなボディを備える。心臓部はBMW製直列6気筒1.65Lをベースに「エド・ピンク・レーシング・エンジンズ(Ed Pink Racing Engines)」が手掛けた高回転型NAエンジンで、シーケンシャルギアボックスと合わせてわずか102 kgの軽さを実現した。
足回りにはF1技術を背景にしたダブルウィッシュボーン、APレーシング製ブレーキ、オーリンズ(Öhlins)製コイルオーバーなど、選び抜かれたコンポーネントを採用している。
年間25台、初年度分は完売
生産は年間25台に限定し、2027年後半から納車開始予定している。予約には5万ドルの前金が必要で、初年度分はすでに完売しているそうだ。
外装色や内装はオーナーごとにカスタマイズでき、公式画像では赤や緑などクラシックな色調が確認できる。コックピットはウッドトリムやレザー巻きステアリングなど、アナログな質感と精緻な設計が融合している。
共同創業者は幼馴染
創業者は幼少期からの友人、スペンサー・ベックマンとカイル・クルーガーの2人だ。
学生時代にはロータス・セブン風のペダルカーを共同制作し、その後自動車や航空宇宙分野で経験を積んだ。
2020年にガレージでLMクーペの開発を開始し、ランボルギーニ・ミウラのデビューにならいローリングシャーシでお披露目。投資家やファンの注目を集めた。
軽さがもたらす「走り」の魅力
990 kgという軽量ボディは俊敏なハンドリングと官能的な運転体験をもたらす。スペースフレーム構造とカーボン外装の組み合わせは、現代のスーパーカーが見失いがちな“走る歓び”にフォーカスしている。
完全オーダーメイドと数量限定、高回転NAという魅力的な条件を備えたLMクーペは、コレクターズアイテムであると同時に、ハンドルを握る喜びを知る者のための一台と言えるだろう。