塩田千春の最新展がスペインで大反響! 赤い糸でつなぐ“記憶と家”の物語

  • 文:小林由季
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BILBAO ビルバオ/スペイン

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「毛糸」というシンプルな素材で、「家」という大きなコンセプトを表す。さまざまなものとのつながり、関係性を考えずにはいられない空間だ。 photo: Sunhi Mang

精力的に活動を続けているベルリン在住の日本人アーティスト、塩田千春のバスク州では初となる個展が、ビルバオ市の複合文化施設アスクナ・セントロアにて開催されている。

『My House is your House』と名付けられたこの展覧会。以前から「家」をテーマに多くの作品を手掛けてきた彼女は今回、特別制作としてビルバオ市民から寄せられた手紙や絵を赤い糸に絡ませ、人の記憶やつながりを問うインスタレーションを発表。本館の象徴であるホールから地下展示室までを利用し、全68作品を展示している。バスク人は自らのルーツ、家や人とのつながりに思い入れがある人が多く、彼らの美意識に訴える展示が好評を博している。

www.azkunazentroa.eus/es

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欧州各都市で成功を収めている塩田。24年にはバルセロナでも個展を行った。彼女の作品は、常に「存在とはなにか」という命題に向き合っている。

※この記事はPen 2025年9月号より再編集した記事です。