有田焼×北欧デザイン。親子2代の想いを継いだ新しい茶器「1616 / MANZ “CONTOUR”」【Penが選んだ今月のデザイン】

  • 文:猪飼尚司(デザインジャーナリスト)
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「Tea Cup」は艶のあるブラウンとブルー、内側のみに釉薬をかけ外側は素焼きのナチュラルの3色から。φ96㎜×H74㎜、250㎖ ¥3,520 

1616年の開窯から400年以上の時を経たいまもなお、日本有数の陶芸の産地として世界的に高い評価を得る佐賀県の有田。そんな伝統と歴史に裏打ちされた有田焼の確かな技を現代のかたちとして伝えるために生まれた陶磁器ブランド、1616 / arita japanが、デンマークの陶芸家、リカード・マンツのコレクション「1616 / MANZ “CONTOUR”(1616 / マンツ “コンツアー”)」を新たに追加した。

リカード・マンツは1933年、ドイツ生まれの陶芸家。シュトゥットガルト美術アカデミーで陶芸を学び、ストーブタイル職人として訓練を受けたあとに、56年〜65年にかけてスウェーデンを代表する陶磁器メーカー、グスタフスベリに勤務。66年にデンマークに移住し、妻のボディルとともに工房を設立した。

リカードは世界各国を旅しながら陶芸の技を極めていったが、75年に来日し、数カ月を有田で過ごした。その旅に同行していたのが妻のボディルと、娘でありデザイナーとして活動するセシリエ・マンツだ。本コレクションの制作にあたり、他界したリカードの遺志を継ぎ、ボディルとセシリエがディレクションを担当。リカードが生涯をかけて磨きあげた茶器のかたちを家族全員で現代に甦らせた。

高台がついた「Tea Cup」は、ふっくらと丸みを帯びており、持ち上げた時に自然に手に馴染むかたち。一方「Hojicha Cup」は、当初リカードがデザインしたものに、ボディルがリンゴの絵を描き、“アップルカップ”として親しまれていたものだ。すっと立ち上がった先の口縁をわずかに広げることで、滑らかな飲み心地を味わえる。

どちらもスタッキング可能なので、収納にも便利。お茶のほか、コーヒーカップや小鉢として料理を盛るなど、日常のシーンで幅広く活用できそうだ。

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「Hojicha Cup」は青磁色の釉薬仕上げのセラドンとクリアなナチュラルの2色が揃う。φ86㎜×H62㎜、150㎖ ¥3,300。どちらも使い勝手がよく、整然と積み重ねて収納することができる。

「1616 / MANZ “CONTOUR”」

1616 / arita japan
https://1616arita.jp
※この記事はPen 2025年9月号より再編集した記事です。