日本最大のファッション学校の、展示資料オブジェがマニアックすぎる!

  • 写真・文:一史
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3,000人以上のファッション好き学生が通う、東京・新宿の文化服装学院(以下、文化)。
「マンモス校」の定義が学生数1,000人以上とも言われますから、文句なしのマンモス校ですねえ。
創設は1919年(大正8年)。
イギリスにはセントラル・セント・マーチンズ美術学校やロイヤル・カレッジ・オブ・アートがあり。
ベルギーにはアントワープ王立芸術アカデミーがあり。
アメリカにはファッション工科大学(FIT)やパーソンズ美術大学があり。
そして日本には文化あり、です。

先日、校内を撮影場所の候補にした仕事のためロケハンに行ってきました。
(ファッションブランドの人物撮り)
よく行く敷地なのですが、改めて眺めると楽しくて!
エッセンスがマニアックすぎる!
ファッションを伝える仕事をするわたしには親しめるものです。
皆さんも興味深いかと思い、とくにおもしろかった展示物をここに掲載します。
(学校の許可済み)

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なんだこれは! w
右と左の半身が、片や洋服、片や和服。
クラシックな装いをドッキングさせたユニークなトルソー。
モニタ画面の人物の半身を指で隠して眺めてみてください。
男女の両方をいちどに表示させると(洋服カップルバージョン、和服カップルバージョン)より楽しいです!

「いい味わいのアートオブジェだなぁ」と思ったら、実は大真面目な服飾資料なのでした。

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1925年5月の東京の定点観測。
4日間のストリートリサーチです。
洋装男性は67%なのに対し、和装女性は99%。
当時の服装変遷のリアルな状況がよくわかります。
モガ(モダンガール)なんて街中ではごく少数の人たちだったのでしょう。
展示オブジェはこのスケッチを立体模型にしたもの。
工学院大学図書館より寄贈されたそう。

5月の服装?
にしては重ね着ですね。
当時の東京は寒かったようです。
気象庁の歴史データによると、25年5月の東京の平均気温は16.1度。
最低気温の平均は10.9度。
そしてなんと8月は平均25.7度です!(最高は33.6度)
うぅ、涼しい過去にタイムスリップしたい……。

ただし寒かった5月でも最高気温が27.9度の日はありました。
男性の3ピーススーツ+外套の重ね着は過剰でしょう。
暑さ寒さへの対応とは考え方が異なる紳士淑女の服装マナーだったかもしれませんね。
夏服への衣替えは6月に入ってからの一斉習慣でしたから。

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こんな展示でした。
「文化学園 ファッションリソースセンター」周辺の廊下。
一般の人でも自由に見られるはずですが、広い敷地内の奥にある建物の、さらに地下深くのこの場所に行くのは敷居が高いかもしれません。
わたしはプレス腕章を借りてたから堂々と校内を歩けましたが、20歳前後のお洒落な子たちがわんさかいる場所を大人がふらふらしてたら不審者ですからね……。
ヘンな人に寛大な校風ではあるものの。

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リソースセンターの廊下でミシンの展示を発見。
「クラシックでお洒落」と思ったら、製造がなんと1897年!
そんなに古くからミシンがあり、いまと形と仕組みがほぼ同じことに驚きます。
サイズもコンパクトだし。
産業革命時の紡績機械の発明と同時期の品ですね。

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1885年のイギリス製ポケットミシン。
ちっさ!
手回しハンドル式。
金持ちの旅行に同行した雇われ人が服の修理で使ったのかなぁ??
そんな想像をしてしまいます。

文化服装学院。
我が愛する母校でもあります。
卒業生にめちゃ優しい、いい学校なんですよねー。
何十年経っても訪れる人がいるのも納得です。
この敷地にいる人たちは個性はバラバラでも、ファッション好きという1点だけ共通してます。
その1点こそが不思議な共同意識を生み出します。
偏差値だの、社会的立ち位置など、どうでもいい空気。

さて、今回のマニアックなブログ記事(Pen Onlineコラムニスト)はいかがだったでしょうか。
実は各所に貼られた校内ポスターもすごく楽しくて(やはりマニアック)、次回以降のこのブログでお届けする予定です!

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。