これならやれる!スニーカーのお気楽クリーニング新ライフハック9選

  • 写真・文・編集:一史
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「スニーカーのケアは面倒。ベストでなくベターでいいから手軽に済ませたい」。そんな人に役立つクリーニングガイド。街で履くスニーカーをキレイに保つ暮らしのヒント9選。

1.まずは硬めシューズブラシを1本(とウェットティッシュ) 

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コンパクトな大きさのシューズブラシ。

スニーカーケアでもっとも役立つのは、1本のシューズブラシ。デイリーについた土汚れを叩くようにして振り落とす。細かな凹凸に溜まった汚れも、布で拭き取るより遥かに短時間でキレイにできる。毛は硬いほうが効果的だ。ソールの擦り落としにも活用できる。
雨の日の泥汚れは、乾くまでブラッシングを我慢しよう。濡れたまま行うと繊維の奥に汚れを押し込んでしまうからだ。

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このジェイソンマークのブラシは合成繊維製。クリーナーを使う洗浄用だが、乾いた状態での汚れ落としにも使える。

ブラシ素材は豚毛などの動物の毛が安心。品質のいいものでも500円ほどで入手できる。弾力があり変形しにくく、スニーカーを傷めず長く使える。
サイズは手でしっかり掴める大きめがいいだろう。アッパー全体からソールまで疲れず短時間で処理できる。一方でスニーカー内部のほこりを掻き出すときは、ここに掲載したような小さめサイズが便利だ。
ブラシで落ちない汚れはウェットティッシュで拭き掃除する。ただしスエードやキャンバスのスニーカーは汚れを塗り込めてしまいがち。水濡れに強いゴム底だけの使用に留めたい。

2.新品のときだけ防水スプレー

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左はガス噴射式の防水スプレー。右はミスト式防水スプレー。

防水スプレーを使うメリットは、繊維の内部に汚れを染み込みにくくすること。その後のケアが格段に楽になる。買ったばかりのベージュのレザーブーツにワインをこぼして落ちないシミになり困っていた知り合いがいたが、水を弾く加工をしておけばこんなトラブルを防ぎやすい。面倒でも新品スニーカーを入手したらすぐ入念にスプレーしておこう。効果を最大限に発揮するまで約1日掛かるスプレーが多いのでその点にはご留意を。
新品に一度スプレーしてその後は使わないのも手だ。履いているとスニーカーはクタってきて中古感が出てくるもの。少々汚れが増えたところで印象があまり変わらなくなる。クリーニングのたびに吹き付ける手間を掛けるかはご自身の判断でどうぞ。
なお購入する製品はスニーカー専用品でなくてOK。成分はフッ素系、シリコン系の主に2種類ある(写真掲載のジェイソンマークはどちらでもない独自仕様)。シリコン系のほうが強力だが通気性を損なうデメリットがある。汗の蒸気を排出するゴアテックス搭載の防水スニーカーには不向きだ。シリコン系の用途は雨傘やレインコートとされる。スーパーで売られている一般製品は用途を限定しないフッ素系が大半である。スニーカーの汚れ防止目的ならフッ素系を選んでおこう。

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3.ジェイソンマークから選ぶべきはペーパークリーナー

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ジェイソンマークのスニーカー専用クリーニングペーパー。製品パッケージは3パックセットから発売されている。

アメリカのロサンゼルス発のジェイソンマーク。お洒落なスニーカーケアのスタンダードになったケア用品ブランドだ。一方で彼らが提案するケア方法にハードルの高さを感じる人もいるかもしれない。ブラシに水を浸けてクリーナーを塗り、再度水に浸けてブラッシングしてから布で拭き取るといったプロセスは、作業場所も時間もしっかり準備する必要がある。
そんなジェイソンマークの製品には時短ケアに役立つアイテムがある。それがクリーニングペーパー「クイックワイプス」である。

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ペーパーのドット模様は突起状のラバー。このドットをブラシのように擦りつけてクリーニング。

ワンパックのなかに濡れたペーパーが1枚入っている。一般のウェットティッシュとの大きな違いは、片面にドット状のラバーがついていること。このラバーで擦ればクリーニング力がアップする。ウェットティッシュよりケア効率が高い。
ペーパーは2重織りで破れず最後まで使える。濡れた液体の成分は不明だが、ケア最中にすぐ乾くこともない。軽い力で汚れを落としやすい点もこの製品を使うメリットのひとつだ。

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このペーパーでトゥゴムの右側だけ汚れを落としたスニーカー。

上写真が実際にこのペーパーでクリーニングした参考見本。ゴムのトゥ部分の中央から右側が処理した箇所。汚れを落としにくいステッチ部分もキレイになっている。
誰かが履いているスニーカーを不潔に感じるときは、ソールが汚れている場合が多いものだ。そこさえケアすればアッパーがクタっていても洒落た印象にできる。ペーパーはスニーカー全体に使えるが、ゴム突起がソールの汚れ落としに有効だ。
ただ実は上写真のケア見本は、10分ほど力を入れて強く擦り続けた結果である。長年固着した汚れをペーパーで落とすには根性がいる。旅のバッグに忍ばせたり、職場に常備して必要なとき取り出すのが本来の使い方だ。
1枚あたり300円近くする価格に躊躇する人もいるだろう。汚れの酷いスニーカーなら両足で2枚必要なときもある。高性能なこのペーパーを使うか、一般のウェットティッシュで間に合わせるか、財布と相談して決めよう。

4.サンダルはシューズブラシで手洗い

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水場でのアクティビティも想定されたスポーツサンダルは、ラフに丸洗いしやすい。

素足履きの皮脂汚れが気になるスポーツサンダルは、ガシガシと手洗いするのが一番だ。短時間の作業で新品同様に蘇る。家に洗い場がないなら、風呂場の一角で入浴のとき洗ってしまえばいい。夏なら隅に立てかけておけば短時間で乾く。

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汚れを吸着する白パーツと擦り落としの黄色パーツの2重構造。

現代的な専用ブラシならわずかな力で効率的に洗える。ここに掲載するレック「激落ち 泡立ち シューズブラシ」もそのひとつ。価格は数百円でコスパがいい。突起が並ぶ黄色部分がフットベッドの溝に固まった皮脂を掻き出してくれる。薄汚れた程度のスポサンなら洗剤なしでもキレイになる。
皮脂汚れに使う洗剤は食器用がいいだろう。皮脂は油とタンパク質だから皿洗いと同じ要領で落とせる。意外なようだが食器用洗剤は衣服の洗濯にも使える。油性の汚れ落としのとき活用してみよう。

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定評のある掃除グッズのブランド、激落ちくんシリーズの1製品。

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5.漂白剤は絶対NG

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漂白剤でストラップが変色したサンダル。

上写真のスポーツサンダルは漂白剤を溶かした湯に浸けて洗った失敗見本。元はストラップが白かったが、黄色く変色してしまった。幸いなことにムラなく黄変したため、「これはこれでありか」と思い履き続けることにした。ただし目に見えなくても素材は劣化しているはずだ。
ここで使った漂白剤は衣料用の強力な塩素系。漂白剤には主に2種類あり、塩素系と酸素系にわかれる。スポーツスニーカーに使えないのが塩素系である。ナイロンを変色させるからだ。ナイロンは塩素にとても弱い。一方でポリエステルはダメージが少ない。同じ石油由来の化合物でも異なる素材特性である。
掲載のサンダルはタブの合成皮革やメッシュアッパーは元のままだ。ポリエステル、または類似した化繊なのだろう。漂白効果の弱い酸素系はナイロンとポリエステルの両方に使えるとされている。使い分けが面倒な人はとにかく漂白剤の使用をNGにしておこう。

6.クッションネットに放り込み洗濯機に

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クッション性のある洗濯ネットに入れて洗濯機で洗う。スニーカーのインソールは外しておく。本当は絡み防止のため一足ずつ別のネットに入れるほうがいい。

手洗いのよさは形を保ち、部分汚れに集中ケアできること。ただ手が疲れるし時間も掛かる。ならば洗濯機で服と同じように洗ってしまおう。スニーカー内部の擦り落としはできず、クリーニング効果も限定的だが手軽である。ある程度のキレイさで許される子どもの上履きにも洗濯機が便利だ。
セーターのようにスニーカーもネットに入れるのが鉄則。クッション力のあるネットが100均ショップに並んでいる。市場には洗浄力アップを謳う数千円の上質なネットもあるものの、まず低価格品で試し効果を感じたらグレードアップするのがいいと思う。

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ダイソーで購入した200円の洗濯ネット。2重構造によるクッション力で洗濯物を守る。

回転させる急速乾燥は型崩れしやすくNGだ。熱変形しないように、日陰干しや扇風機の風などで乾かすのがいい。
ちなみに上写真のダイソー製品には「蛍光増白剤 不使用」とある。蛍光増白剤(蛍光剤)とは塗布して光の作用で人間の目に白く映るようにした薬品。わかりやすく言えば汚れをコーティングしているようなもの。「白さ際立つ」「白もの専用」などと宣伝される洗剤に含まれている。成分表記に必ず記載されているから確認は簡単だ。
この洗剤で洗ったスニーカー(とくに白キャンバス)を日光に長時間さらすと、黄ばむことがある。紫外線に弱い薬品なのである。蛍光増白剤入り洗剤は使わないほうが安心だろう。

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7.コインランドリーのスニーカー洗浄マシンを使う

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コインランドリーのスニーカー専用洗濯機。電子レンジのような上部は乾燥機だ。

カフェを併設し清潔な店内でくつろげるモダンなお洒落コインランドリーが増えている。こうした店に設置されていることが多いのがスニーカー専用洗濯機だ。ランドリー側が用意した洗剤が自動投入されるから、客はただスニーカーを持っていくだけでいい。洗濯ネットも必要なし。
上写真は全国で多店舗展開している「Baluko Laundry Place」の設置品。大人用は一度に2足洗える。料金は20分200円。乾燥も20分100円で、乾きが早い化繊スニーカーなら20分が目安のようだ。合計すると最低料金で300円になる。乾燥時間を伸ばす追加料金を投入したとしてもリーズナブルな設定だ。

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洗濯機内部はスニーカーに特化した特殊なブラシ構造。

洗えるスニーカーは、「綿、化学繊維、合成皮革」に限られる。本革、スパイク付き、長靴などは禁止。たくさんの人が利用する公共マシンだからルールを守って利用したい。
コインランドリーでのスニーカー洗いはデイリーな軽い汚れ落としに便利だが、悩ましいのはいつも誰かが使っていること。ひとつのランドリーにつき1台だけの設置が主流だからバッティングも起きる。24時間営業の店に夜中に行っても、先に誰かがいたら悔しい思いをする。いますぐ洗う必要がないなら、別の手段としてクリーニング業者を頼る手がある。

8.クリーニング業者に託す

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洗濯機での普通洗いで660円前後はスニーカークリーニングの最低ランクの相場といえる。本革など慎重なケアが必要なスニーカーは料金が上がるのが通例だ。

大手クリーニング業者の多くがスニーカーケアに取り組んでいる。預けてから受け取れる日数は約1週間ほど。意外と短く感じられるのではないだろうか。
料金は洗濯機洗いか、手洗いかで大きく異なる。むろん手洗いのほうがスニーカー内部まで入念にケアされるため満足度は高いだろう。
業者のクリーニングはオゾン水や消臭効果の高い洗剤を使うなど清潔に仕上げる工夫がある。臭い消しを目的にするのもいい利用方法だ。プロの仕事なだけに家庭洗いより除菌の期待値は高い。
近頃は専門スタッフによる丁寧な洗いコースを設けるクリーニング店も増えてきた。ただし料金が4,000円ほどからで、海外ハイブランドのスニーカーなら10,000円を越えるのも珍しくない(ブランド品というだけで価格が上がる)。オプションでソールの黄ばみ落とし、シミ抜き、撥水加工などをつけるとさらに数千円ずつアップする。新品で一足買える金額を注ぐ価値のあるスニーカーでトライしよう。

9.臭いは抗菌ソックスで根本から断つ

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ソックスの素材は上から順に、ウールベース、和紙ベース、コットン(抗菌加工)。すべて数日履いても臭わないほど衛生に優れる品だ。※記事制作者の実体験より。

スニーカーのケアのうち、とにかくやっかいなのが内部の臭いである。消臭スプレーをしたところで、隅々まで入り込んだ臭いは消えない。脱いだ瞬間に効果があっても再び履けばまた臭ってくる。
対策として足そのものを臭わなくしよう。雑菌が繁殖しない清潔な足を維持できれば、スニーカーもフレッシュになる。まず前述したクリーニング業者にスニーカーを預け、丸ごと洗浄してもらおう。そして足対策として抗菌加工、または雑菌に強い天然素材のソックスを履く。スニーカーに合うルックスの高機能ソックスが近年はだいぶ増えてきた。価格は2千円前後するが、医療器具と思えば無駄買いにはならないだろう。
風呂に入っても足が臭うような人は医者の治療が必要かもしれない。それでもソックスの見直しは絶大な効果を発揮するはず。素材でもっともお薦めなのは動物性のウール。ウールを選べばまず間違いない。肌の湿度を適度に保つため、肌コンディションも良好に保たれる優れた天然素材だ。

最後に

今回のスニーカーケアのライフハック記事はいかがだっただろうか。なにかひとつでもヒントがあり、皆さんの生活が楽になれば幸いである。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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