吉田茂や田中角栄も愛したオールドパー、フラッグシップ12年の魅力【ウイスキーの肖像 vol.2】

  • 写真:正村僚麻
  • 文:西田嘉孝
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英国最長寿の152歳9カ月まで生きたとされ、時の国王から市井の人々までを熱狂させたというトーマス・パー。そんな英国史に残る伝説の人物の名を冠するウイスキーが「オールドパー」だ。

ジェームズとサミュエルのグリーンリース兄弟が、自分たちの手でブレンドしたウイスキーの販売を始めたのは1871年のこと。当時のロンドンではスコットランド産のブレンデッドウイスキーが人気で、父の代からスコッチウイスキーの販売を行ってきた兄弟が、このチャンスを逃す手はなかった。

後にトーマス・パーにちなみブランド名をオールド・パーとしたのは、「変わらない品質で時代を超えて愛されるウイスキーを」という願いから。斜めに置いても立つ特徴的なボトルデザインなど、ネーミングのほかにもユニークなアイデアに満ちたオールドパーは兄弟の狙い通りに人気を博し、いまでは世界で最も有名なスコッチウイスキーのひとつとなっている。

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オールドパーの由来となった、英国史上最長寿といわれるトーマス・パーの肖像。
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スペイサイドに佇むクラガンモア蒸留所。オールドパーのブレンドを支えるモルト原酒を生み出している。

日本では岩倉具視の欧米使節団が1873年に持ち帰ったウイスキーとしても有名だが、記録で確認できるオールドパーの発売年は1909年。岩倉が持ち帰ったウイスキーはグリーンリース兄弟が手掛けた別のウイスキーだったのではないかと推察されている。

ともあれオールドパーは明治の終わり頃から日本でも飲まれるようになり、吉田茂や田中角栄といった時の権力者や、池波正太郎などの文豪たちに愛されてきた。

テイスティングノート

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オールドパーにもいくつかの種類があるが、まず試してもらいたいのがブランドのフラッグシップである「オールドパー 12年」だ。

スペイサイドの隠れた佳酒として知られるクラガンモア蒸留所のモルト原酒を中心に、12年以上の熟成を経たグレーンウイスキー原酒とモルト原酒を見事なバランスでブレンド。飲めば口当たりはまろやかで、フレッシュなフルーツや麦、心地よい樽香やほのかなピート香など、複雑な要素が調和したスコッチらしい香りや味わいが楽しめる。

加水しても香味のバランスが崩れにくいのもオールドパーの特徴で、吉田茂や池波正太郎が愛したというオン・ザ・ロックはもちろん、ハイボールや水割りにして食事と合わせるのもお薦めだ。

オールドパー 12年

www.oldparr.jp/12years



Photograph by

正村僚麻

1994年、岐阜県生まれ。日本大学芸術学部写真学科出身。飛知和正淳、小暮和音に師事し、現在はフリーランスとして活動。ファッションと音楽を中心に人物、商品、映像撮影など幅広いジャンルで活躍する。
Instagram:@vietnamfinebreak38