座ると踊り出す! デザイン&アートデュオが手掛けた「ダンシング・ベンチ」

  • 文:宮田華子
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去る6月19~24日、、スペイン・ラ・リオハ州ログローニョで開催された国際建築・デザインフェスティバル「コンセントリコ(Concéntrico)2025」にて、ロンドンを拠点とするデザイン&アートデュオ「ソフト・バロック(Soft Baroque)」によるインタラクティブ作品「ダンシング・ベンチ(Dancing Bench)」が発表された。

コンセントリコは、都市空間の再創造や公共装置をテーマに掲げているイベント。ダンシング・ベンチは公園の一角に設置され、人々の目を惹きつけた。

座ると踊る、その仕組み

このベンチは、腰かけるとその重量と動きによって、複数の装着パイプが回転する設計。座りながら身体を動かすと、視覚的な錯覚とともにベンチ全体がなめらかに揺れ、まるでベンチそのものが踊っているように見えるのだ。

 

踊るように動くベンチ。マニュアルで動くので、子どもから大人まで幅広く楽しめる。

ソフト・バロックとは?

ソフト・バロックは、1988年メルボルン生まれのニコラス・ガードナーと、1984年スロベニア・クラー二生まれのサシャ・シュトゥチンによって、2013年にロンドンで結成されたデザイン&アートデュオ。オブジェクトデザインと視覚芸術の境界を軽やかに越えながら、機能とイメージ、美しさと消費のロジックとの間にある緊張感を魅力的に共存させる作品を生み出している。

 

ニコラス・ガードナー(右)とサシャ・シュトゥチン(左)。

ミッドセンチュリー・モダンの洗練された造形美を基盤としながらも、観る者の目や触覚を揺さぶる概念的なアプローチを重視している彼ら。これまでにV&Aやロンドン・デザイン・ミュージアム、世界各地のビエンナーレなどにも出展しており、アートとデザインの両領域で高い評価を受けている。

 


「In the Weeds」(2024年)by Soft Baroque

「ダンシング・ベンチ」の魅力と効果

ぱっと見ただけでは普通のベンチに見えるにもかかわらず、体重移動によって回転が連鎖する構造の「ダンシング・ベンチ」。静的な公共空間にユーモアと動きをもたらす参加型作品だ。

誰にでも馴染みのあるベンチが、身体と視覚の双方で「踊るオブジェ」へと変化する。ソフト・バロックがつくり上げた挑戦的かつ楽しい作品だ。