イタリアの名門メゾン、ボッテガ・ヴェネタが新たなラグジュアリー・トラベルの扉を開いた。昨年末にローンチした「オデッセイ」コレクションから、機内持ち込み可能なレザートロリー「オデッセイ イントレチャート キャビン スーツケース」が登場する。その価格は138万6000円。まさに“旅する芸術品”と呼ぶにふさわしい一品である。

なぜこれほどまでの価格設定なのか。その答えは、表面を覆うサンドカーフ素材にある。英国・イタリア原産のカーフレザーを使用し、ボッテガ・ヴェネタを象徴するレザーの編み込み技法「イントレチャート」で仕上げられているのだ。しかし、その製造工程こそが真の価値を物語る。クロムなめしの後に再なめしを施し、銀面を丁寧に磨いた後、ドラム染めとセミアニリンの仕上げ剤を塗布。さらに特殊なシートと共に加熱することで、あの美しく均一なシボ模様が生まれる。手触りは贅沢で心地よく、これこそが”旅する芸術品”と呼ばれる所以なのだと深く納得させる質感といえよう。

一方で、美しさだけに留まらないのがボッテガ・ヴェネタの真骨頂だ。内側はキャンバスのライニング付きで、中身を整理しやすい2つのコンパートメントを装備。片側はファスナーで開閉でき、もう一方は硬質なセパレーターがふたの役割を果たし、レザーストラップで固定される仕組みとなっている。このセパレーターは取り外し可能で、上面にはフラットなファスナーポケットも配置されている。旅の荷物を美しく、そして効率的に収納できる設計は、実用性と美学の完璧な融合を実現しているのである。

セキュリティ面においても一切の妥協はない。ペイントを施したメタル製の最新型TSAロックを採用し、メタルファスナーとの組み合わせにより、安全性を確保しながら高級感も演出している。さらに注目すべきは、耐久性に優れたプラスチック製のコーナーへの配慮だ。ボディに沿うよう入念に成型したものに、手作業でスムースレザーを被せるという徹底ぶりである。これらすべてが、スーツケースに求められる最高水準の品質と耐久性を満たしているのだ。

このトロリーは機内持ち込み規定を完璧にクリアしており、「オデッセイ」の名が示すように、長い冒険の旅への憧憬を込めた存在といえる。単なる移動手段を超越し、旅そのものを格上げし、所有者のライフスタイルまでも昇華させるアイテムなのである。ラグジュアリーな旅を愛する人々にとって、このトロリーは間違いなく新たなステータスシンボルとなるに違いない。