2025年上半期の、思い出に残るクリエイションを振り返る【前編】

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    グラフィック・空間・映像・アートピースなど、さまざまなアプローチで制作活動を行うアーティストYOSHIROTTEN。

    この連載では「TRIP」と題して、古くからの友人であるNORI氏を聞き手に迎え、自身の作品、アート、音楽、妄想、プライベートなことなどを織り交ぜながら、過去から現在そしてこれからを、行ったり来たり、いろんな場所を“トリップ”しながら対談します。

    鹿児島県霧島アートの森での個展が終わり、少しひと段落した様子のYOSHIROTTEN。2025年の上半期のクリエイションを3回にわたって振り返る。

    ──最近ローンチしたプロジェクトはありますか?

    YOSHIROTTEN:ご無沙汰しています。もう6月ですか。半年間あっという間でしたね……。もうだいぶ時間たっちゃいましたが、まずは今年1月にローンチしたものから。銀座メゾンエルメスがGINZA SONY PARKに「おかえり」とメッセージを送る企画を手掛けさせてもらいました。昨年1年間限定のプロジェクト「ランタンエルメス」にYARとしてアートディレクションを続けた流れもあって実現しましたね。

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    ──2月には宇多田ヒカルさんの「Electricity」のremixも公開されましたね。

    YOSHIROTTEN:ジャケットデザインとビジュアライザーを作りました。ループに見えるけど、楽曲フルで映像作りました。レコードもつい先日発売されました。 

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    ──ちょっとは休みも取れていますか? 2~3月には、ロンドンに行ってましたよね。

    YOSHIROTTEN:ロンドンはこの半年間でもう2回ほど行ってましたが、休みの時間もあったので色々行きました。Tate Modernでやっていた「ELECTRIC DREAMS」という展示が面白かったです。主にコンピューターやゲームをテーマにした展示構成だったけれど、一番最初の部屋が田中敦子さんの「電気服」の写真展示から始まったのが印象的でした。自分が「RGB Machine」を作ってるなかで、60〜70年代から自分が作ったものへの歴史が続いてるんだと感じられてよかったです。

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    田中敦子 作品

    ノリ:その前に、青森の「弘前れんが倉庫美術館」に行ってましたよね

    YOSHIROTTEN:なんで青森に行ったかっていうと、津軽塗りの職人さんに会いに行っていて。コラボレーションを計画中です。「津軽塗り (通称 馬鹿塗)」という、何層も何層も時間をかけて重ねて塗って、すごい技術と美しい工芸なんです。なにか新しいことを一緒に作れないかなと思って、いまイメージに合わせて試作してるところです。その流れで大雪のなか訪れた、弘前れんが倉庫美術館の展示も面白かったです。

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    ノリ:鹿児島も春にひさびさに行って楽しかったなあ。自分の人生史上、食への関心が一番高くなったのが「うなぎの末よし」。体系的に理解したい。短期間で3回食べたんですけど、3回目に食べた時に冷静に美味しさが噛み締められというか。客観的になれた

    YOSHIROTTEN:うなぎの話してたら、うなぎ食べたくなったな。ノリが東京に帰る時に、僕は鹿児島の地元に帰ったんだけど、まだなんか行ったことない道に変なトイレがあったんだよね。

    ノリ:宇宙船みたいだ。 

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    YOSHIROTTEN:あと、「東雲の里」っていうすごい蕎麦屋があってさ。ひとりの男の人が山を30年前に買って、鎌一本持って30年かけて開墾したらしいんですけど。いろんな人が手伝いに来る中で、出会った奥さんと生まれた子どもがいま蕎麦屋さんをやっていて。陶芸の窯も構えてて、インテリアも全部そのオーナーが作っててすごいかっこよかった。

    ノリ:パラレルワールドのよしろーさんなんじゃないの。 

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    YOSHIROTTEN:あと京都にも行って、重森三玲さんが作った庭と、息子さんが管理している茶室を見に行ったり。任天堂ミュージアムも行ってきて、いろいろなアーカイブを見てきた。もともと任天堂を作ってた工場の跡地だからか、辺鄙なところにあって。花札から歴史は始まってるんだけど、今までの過去のゲームが展示されていて懐かしかった。

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    任天堂ミュージアム

    YOSHIROTTEN:東京に帰ってきてからは、前に僕のアシスタントをやってたMOTTY(丸井元子)の40歳の誕生日を祝ったりして。もう今年の時点でいろいろ行ってるから、少しゆっくりしたいですね。…と言いつつ、次回は韓国の出張、そして鹿児島で行った大きな映像作品の話もしたいと思います。 

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    MOTTYへの誕生日プレゼント

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    YOSHIROTTEN

    グラフィックアーティスト、アートディレクター

    1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。


    Official Site / YAR

    YOSHIROTTEN

    グラフィックアーティスト、アートディレクター

    1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。


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