直線や対称性に美を見出したアールデコ様式は、1920~30年代の建築やインテリア、腕時計のデザインにも大きな影響を与えた。その代表と言えるのがレクタンギュラーケースだ。当時生まれた「タンク」や「レベルソ」をはじめ、いまも定番のフォルムとして愛されている。当時の前衛的な美意識はそのままに新たな表現を探った新作の数々は、格別の魅力を放つ。
9の視点で紐解く、2025年の新作腕時計
今年も個性豊かな新作腕時計が、華々しく登場した。世界最大の時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025」は、過去最大の約55000人を動員するなど、いまなお腕時計の人気を実感させるイベントだ。今回は2025年の新作時計の中から、9つの視点から整理して紹介していこう。ダイヤルやムーブメント、カラー、素材、手仕事にテクノロジー、そして歴史。腕時計を構成する要素は果てしなく多い。だからこそ、視点の違いで解像度は大きく変わる。大量の新作を前に、あなたが悔いのない選択をするためにも、そのヒントをお教えしよう。
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1. ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・ミニッツリピーター」

アールデコデザインの傑作「レベルソ」の反転可能なレクタンギュラーケースに、ミニッツリピーターを組み込んだ大作。表のダイヤルはギョーシェ彫りにエナメル仕上げ。裏面では自社製ミニッツリピーター・ムーブメントの機構を見せる。
2. カルティエ「タンク ア ギシェ」

小窓(ギシェ)で時分を表示するレクタンギュラー型のジャンピングアワー。オリジナルは1928年に登場し、97年と2005年にも復刻されている。今回はギシェを斜めに配置したエキセントリックなデザインでアップデート。
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3. フランク ミュラー「フロングアイランド デコ」

レクタンギュラーといえば、フランク ミュラーの「ロングアイランド」抜きに語れない。レイルウェイをオーバルからスクエアに変更し、アールデコをより強く主張。
4. リシャール・ミル「RM 16-02 オートマティック エクストラフラット」

ピュアな長方形を描くフォルムは、トノーシェイプが定番のリシャール・ミルでは異色の新作。ブリッジワークが印象的な新ムーブメントを搭載。

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