エナメルやギョーシェ、彫金、マルケトリなどの伝統技法が、限られた空間の中に凝縮されるメティエダールウォッチ。手仕事が生む微細な表現は単なる装飾を超えて、物語性や詩情を宿す特別な存在にもなる。ある意味で最もクリエイティブな腕時計と言ってもいいだろう。テクノロジーが進化しても色褪せない、技巧と感性が詰まった新作の数々を堪能しよう。
9の視点で紐解く、2025年の新作腕時計
今年も個性豊かな新作腕時計が、華々しく登場した。世界最大の時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025」は、過去最大の約55000人を動員するなど、いまなお腕時計の人気を実感させるイベントだ。今回は2025年の新作時計の中から、9つの視点から整理して紹介していこう。ダイヤルやムーブメント、カラー、素材、手仕事にテクノロジー、そして歴史。腕時計を構成する要素は果てしなく多い。だからこそ、視点の違いで解像度は大きく変わる。大量の新作を前に、あなたが悔いのない選択をするためにも、そのヒントをお教えしよう。
『ようこそ、 ヴィンテージへ』
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1. エルメス「アルソー ロカバール・ドゥ・リール」

「ロカバール」とは3つのカラー(おもにイエロー、レッド、ネイビー)のボーダー柄。「ドゥ・リール」がつけばディミトリ・リバルチェンコによる馬の絵だ。スカーフのカレで有名なモチーフを細密画・手彫金・マルケトリで表現。舌を出すボタンも装備するという遊び心も。
2. ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル バル デ ザムルー オートマタ ウォッチ」

超絶技巧で詩情を描く「ポエティック コンプリケーション」に新たなオートマタウォッチが加わった。物語の舞台は19世紀のパリ郊外で流行した河辺のダンシングカフェ、ギャンゲット。逢瀬を楽しむ男女が真夜中と正午に近づき、口づけを交わす。オンデマンドでも作動可。
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3. ユリス・ナルダン「フリークXゴールドエナメル」

エナメル文字盤で定評のある傘下のドンツェ・カドラン社による、フランケ(ギョーシェエナメル)文字盤はもはや芸術品の域だ。
4. ローラン・フェリエ「クラシック・トラベラー グローブナイトブルー」

宇宙から観た地球を描くデュアルタイマー。シャンルヴェエナメルを施した文字盤はドーム型で地球儀を再現しており、都市の明かりは金のエナメルで手描きされる。

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