マッカランとは何か? シングルモルトを代表する逸品、シェリーオーク12年【ウイスキーの肖像 vol.1】 

  • 写真:正村僚麻
  • 文:西田嘉孝
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今日に至るウイスキーブームの火付け役となったのが、スコットランドで産まれたシングルモルトだ。大麦麦芽と酵母、水のみを原料にただひとつの蒸溜所でつくられるシングルモルトウイスキーは、いまではさまざまな国で生産されている。中でも最高峰のブランドとして、シングルモルトに特別な価値を与え続けてきたのが「ザ・マッカラン」だ。

シングルモルトは蒸溜所ごとの個性が重視され、蒸溜所名がそのままブランド名となるのが一般的。それはザ・マッカランも例外ではない。

スコットランドのスペイサイド地域の小さな農地に、教師であり牧師でもあったアレキサンダー・リードがマッカラン蒸溜所を創業したのは1824年のこと。以降はオーナー交代を繰り返しながら、伝統的な麦芽や製法、そしてヨーロピアンオークのシェリー樽での熟成にこだわった香り高いウイスキーで、その評価を高めていった。

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上:敷地内に立つイースターエルキーハウス。18世紀から長く蒸留所を見守ってきたブランドの象徴的存在だ。 下:2018年に新たにオープンしたマッカラン蒸溜所。 (写真提供:サントリー)

当時は、蒸溜所でつくられるウイスキーのほとんどがブレンド用として出荷されていたが、シングルモルトがリリースされて以来、「ザ・マッカラン」は、その美しく重厚な味わいで愛されている。

2018年には総額210億円を投じて新たな蒸溜所をオープン。再生可能エネルギーの使用やオートメーション化など、近未来のウイスキーづくりを思わせる新たな蒸溜所でも、ザ・マッカランの伝統を踏襲したウイスキーづくりが行われている。

テイスティングノート

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そんなザ・マッカランの最初の一本としてお勧めしたいのが、「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」だ。

近年、ザ・マッカランは“シェリー樽への回帰”を表明しており、ヨーロピアンオークとアメリカンオークの2種のシェリー樽での熟成を原則とする。そのうち「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」に使用されるのは、主にヨーロピアンオークのシェリー樽。

スペイサイド最小のポットスチルでの蒸留や、蒸留したスピリッツの僅か16%のみを熟成にまわすファイネストカット、さらには木材の調達まで、自社で厳格に管理したヨーロピアンオークのシェリー樽での12年の熟成がもたらすのは、プラムやドライフルーツを想起させるリッチで濃密な香りや味わい。

飲み方はストレートやロックがお勧めだが、濃いめのハイボールでもフルーティで豊かな香味が楽しめる。特にスイートな味わいのウイスキーが好きな人なら、間違いないなくお気に入りの一本になるはずだ。

ザ・マッカラン シェリーオーク12年

www.suntory.co.jp/whisky/macallan



Photograph by

正村僚麻

1994年、岐阜県生まれ。日本大学芸術学部写真学科出身。飛知和正淳、小暮和音に師事し、現在はフリーランスとして活動。ファッションと音楽を中心に人物、商品、映像撮影など幅広いジャンルで活躍する。
Instagram:@vietnamfinebreak38