夏の汗じみをシャットアウト! 服だけで防ぐ“汗対策”ライフハック5選+α

  • 写真・文・編集:一史
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子どもの頃から冬でも汗だくになり、夏はずっと服が濡れっぱなし。汗と闘う人生を送ってきた者が辿り着いた服の選び方がある。都会暮らしの悩み多き同士たちにお届けする、2025年最新版の夏汗対策ライフハック5選(と小ネタ2選)。

1.白を着る

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真夏の羽織りものにちょうどいい、洗いざらしのゆったりシャツジャケット2点。インナーの汗がシャツに染み出しても不潔な印象にならない服だ。

まず汗人間が着るべきなのが白い服である。濡れたときの目立ちにくさで白を上回る単色はないだろう。順位でいうなら1位は白、2位は黒、3位は黄色だろうか。白がさまざまな理由を含めて断トツの1位だと思う。会う人に爽やかな印象を与える白は、汗で濡れても不快感を感じさせにくい。
男性好みの黒も、濡れがあまり目立たない色である。ただ黒Tシャツに関しては、大人になるほど似合わなくなる服と認識しておきたい。老けた顔や太い首が強調されてしまう。暑苦しい印象になると汗じみを気にする以前の問題になる。悪い汗の塩分が乾き、白く浮き出やすいのも黒の欠点。汗人間が黒を着るなら下半身のパンツだけに留め、上半身は避ける着方を考えよう。
一方で黄色は光を反射し白に匹敵するほど明度が高い色彩で、意外と濡れが目立ちにくい色。ただし素材やトーンしだいだから、黄色を選ぶときは慎重になろう。
なお汗を気にする人が着てはいけないタブーの色が、ライトグレー、水色、ピンクなどの薄いパステルカラー。濡れた箇所との違いがくっきりと浮かび上がる避けたい色である。

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2.派手な柄物を着る

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視覚的な分散効果で汗濡れの印象を弱める柄シャツ。左はポロ ラルフ ローレンのビンテージで、右はアンフィーロの2025年春夏アイテム。

リゾートムードのある派手な柄シャツも汗濡れが目立たない服だ。なるべく多色使いの柄で、明度の高いものを選ぶのがコツである。
このような視覚効果を深堀りすると、ハワイでアロハシャツが正装と認められているのが理に適っていることに気づく。アフリカンプリントの布も派手な柄が多いが、暑い土地の気候に合う自然な色の選ばれ方なのだろう。
柄シャツの素材は、濡れの乾きが早い透けるシアー素材がベスト(上写真のアンフィーロがその素材)。肌にベタつかない機能面でも、シアー素材はもっと男性に人気が広がっていいアイテムだ。

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3.汗じみ防止Tシャツを着る

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汗じみを防ぐ加工を施した厚手生地のナノ・ユニバースのTシャツ。この手のTシャツでは珍しいモックネックの襟だ。掲載品は製品を一度水洗いして吊り下げて乾かしたもの。

水を弾き染み込ませない撥水技術を使い、汗じみを表に響かせにくくしたTシャツがある。裏面はしっかりと汗を吸い取る。近年は各セレクトショップから洒落感のある機能性Tシャツが続々と登場している。選べる幅が広がったのが汗人間には実にありがたい。
素材もコットンをベースにしたものが多く、手触りも一般のTシャツとほぼ変わらない。洗濯を繰り返すと性能が衰えはするものの、ちゃんと効果は続く。

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生地が薄い下着系のエディフィス。これも新品をワンウォッシュして自然乾燥させたもの。くったりとしているが、薄くても汗を内側に閉じ込めてくれる。

どのメーカーの製品でも過剰な期待はしないほうがいい。汗が多い人なら着続けると濡れてくる。とはいえ、びしょ濡れの不自然な見た目になりにくいのが一般のコットンTシャツと大きく異なる点。さらに大きなメリットは、上に着たシャツやジャケットが濡れにくくなること。汗がひどい人はインナーをぶち抜き、他の服にまで広がる問題に悩まされている。汗じみ防止Tシャツを着ればその悩みが解決するかもしれない。

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濡れが目立つグレーTシャツこそ加工が真価を発揮する。ほかと同様に新品を洗って乾燥させた、アイテムズ アーバンリサーチの品。

製品を試して感じた問題点もここで挙げておこう。まず縫製が甘いものが多い印象だ。縫い目のゴロつきもあり、高級感とは別の方向性の服である。
メーカーにより機能がバラつく点も押さえておきたい。汗ばんだ身体で着たら、すぐ胸や背中に染み出した低性能のTシャツに出くわしたことがある(芸能人をCMに起用する規模のSPAメーカーの品)。ここに掲載した3着は私的な基準では合格点だが、皆さんがどう感じるかはわからない。体質に合うTシャツに出会ったら、何着かまとめ買いするのが最良の購入方法だと思う。価格の相場は5,000〜9,000円ほどである。

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汗じみ防止Tシャツをインナーに採用すれば、水濡れが目立つ服も着られるようになる。なお写真のように袖をまくるときは、二の腕までたくし上げよう。汗をかきやすい肘の内側を露出させると涼しく感じる。

各社で用語の使い方が定まっていない点にも触れておきたい。強い表現の“防止”でなくソフトに“軽減”と記載するメーカーもある。“撥水加工”とだけ記述して汗に一切触れないケースも。なお前述した低性能Tシャツは、商品名にしっかり「汗ジミ防止」と記載されていた。メーカーの販売姿勢が垣間見えるこうした表現にも着目すると、買い物がおもしろくなる。

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4.汗じみ防止シャツを羽織る

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汗じみ防止加工の布帛シャツをアウターとして羽織った着方。ワンウォッシュ&自然乾燥したナノ・ユニバースのもの。

汗じみを防ぐ加工を施した布帛(ふはく)シャツも存在する。種類は限られるが一着あると便利に使える。例えば汗だくで屋外を歩き回ったあと、食事処やカフェに入るときにサッと羽織る。シャツに染み出さないから、びしょ濡れインナーを包み隠せるのだ。ほかの客から「汗人間が来た」と冷たい目で見られることもない。持ち歩けば室内で肌寒いときの冷房対策にもなる。
掲載のシャツは背中をダーツで絞ったドレスタイプ。本来の用途はテーラードジャケットと組ませるビジネスウェアだ。トップスの形が小さくなってきた新しいファッショントレンドに合う服でもある。

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5.防水スプレーで自作する

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汗が気になる箇所の表と裏の両方に、強力な防水スプレーを噴射。

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シャツを水に浸けたら、脇だけ濡れてない状態に!

「どうしてもお気に入りの服を着たい」、そんな人に自己責任でお試しいただきたいのが防水スプレーの活用。濡れる箇所を自力で撥水加工するテクニックだ。耐久性、持続性はそれなりでも効果を発揮する。
このテクがとくに役立つのはジャケットの裏側。脇下、背中などにスプレーしておけば、インナーからの染み出しをかなり防げる。パンツの腰部分にスプレーするのも、背中から流れた汗を止めるのに役立つ。仕事でジャケパンやスーツを着る人にとても実用的である。
なお掲載写真のシャツのように肌に直接触れる服では、スプレー成分の付着で健康に害がないか不安が残る。気にする人はアウターだけの使用に留めておくのが吉だ。

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6.番外編:黄ばみにくい加工Tシャツ

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自身が開発した黄ばみにくい白Tシャツを着たファッションデザイナーの吉屋 充さん。Pen Online「着る/知る Vol.156 猛暑を乗り切るアイテムを探せ!プロたちの夏対策スタイル Part 1」より。※記事末にリンクを掲載。
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特殊な生地加工に加えてパターンも独特な構造。洒落感に手を抜かないブランドならではのオリジナリティだ。

「大汗かき=服が黄ばみやすい人」とまでは言い切れないだろうが、黄ばみは深刻な問題だ。落ちない汚れのせいで服を次々に買い替えるのはコスパが悪すぎる。そこに切り込んだファッションデザイナーが吉屋 充さん。自身のトータルブランドのタンジェネットで黄ばみにくい特殊な生地を開発。Tシャツと布帛シャツに採用している。気になる人は試してみよう。

7.番外編:濡れると頑丈になる天然繊維、麻

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麻のスペシャリストのファッションデザイナー、スズキタカユキさんによる麻シャツ。Pen Online「着る/知る Vol.174 素材トレンドは麻、シルク、ウール!服のつくり手たちが語った新作のエッセンス」より。※記事末にリンクを掲載。

このライフハック記事制作者が、夏の作業時や自宅で好んで着るのが麻素材だ。麻は水に濡れると頑丈さが増す特殊な天然素材。ウールやシルクなどは濡れると格段に弱くなるが、その真逆をいく特性である。濡れによる強度増しは約20%(麻糸商会のサイトより)、もしくは約10%(アメリカの天然素材専門店PYNE&SMITHのサイトより)とされている。日本のネット記事でよく見かける60%アップという数字は疑問だが、もとからタフな繊維がさらにタフになるのは間違いない。
濡れた状態でOKなのは汗人間の強い味方である。生地を痛めず着続けられる。さらに麻は体臭の移りも少なく、風を通して涼しい。洗ってすぐ乾くのも、脱ぎ着の多い者にありがたい特徴である。
汗っかき同士諸君よ、ともに麻の服を着て暑く苦しい日本の夏を乗り切ろう!

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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