フレンチ、ジャパニーズモダン、ドイツのデザインプロダクト……。ヴィンテージのインテリアショップ4選

  • 写真:舛田豊明、齋藤誠一
  • 編集&文:松本雅延、佐野慎悟
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インテリアから雑貨、服、自転車、オーディオまで、こだわりのヴィンテージアイテムを揃えた、東京近郊のお薦めショップを厳選して案内しよう。今回は、インテリアを中心に4つ紹介!

いま、ヴィンテージが面白い。本特集では、目の肥えたクリエイターたちが愛用している品から、いま訪れるべき話題のギャラリーや海外での暮らし、人気店のオーナーが目をつけているネクストブレイクまで、ヴィンテージの魅力や注目アイテムを徹底取材してお届けする。ようこそ、まだ見ぬ、奥深きヴィンテージの世界へ。

『ようこそ、 ヴィンテージへ』
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個性派ポストモダンを筆頭に、新しい潮流を生む店

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ビルの1フロアを使った店内には、国、時代を超えたさまざまなヴィンテージが並ぶ。写真左に見えるテーブルは、近年再評価が進む高濱和秀によるデザインで、国内外であまり数がない貴重なものだという。
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フランスのデザイナー、フィリップ・スタルクが手掛けた三脚椅子ドクター・サンダーバー。1983年から89年にかけて製造されたもの。¥770,000
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左:チェコの建築家でインテリアデザイナー、ガラス工芸家としても知られるボジェック・シーペックの花瓶。左¥38,500、右¥49,500 右:高濱和秀が手掛けた照明。¥330,000

東急東横線・学芸大学駅の商店街近くのビル内にある「ユーアーウェルカム」は、1980年代以降のいわゆるポストモダンのデザイン家具から古い備前焼の壺、アフリカやアジアのプリミティブなオブジェまで、自由なセレクトで新しいヴィンテージの可能性を提案する店だ。

オーナーは、プロップスタイリストで店舗の什器のデザインも手掛ける矢口周太郎。過去にアパレル企業に勤めていたこともあるそうで、アカデミックなインテリアの文脈だけでなく、ファッション的な視点も組み入れながら、有名無名問わず自身の感性に響くものを集める。

さまざまなヴィンテージがカオスに並ぶ店内だが、なかには1950年代にイタリアに渡り、多くの名作家具を残した高濱和秀の机や照明、フィリップ・スタルクやジャスパー・モリソンの初期のチェアなど、レアなアイテムも。訪れるたびに新鮮な発見があるヴィンテージショップだ。

ユーアーウェルカム
住所:東京都渋谷区元代々木町4-5 1F・B1
TEL:080-3425-8608
営業時間:Instagramにて告知
Instagram:@youarewelcome.tokyo

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ジャンヌレのオリジナルを、日本随一の豊富さで揃える

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建築家のル・コルビュジエとジャンヌレが手掛けたダイニングテーブル¥9,350,000、チェア各¥858,000
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右はル・コルビュジエとジャンヌレのダブルネームのキューブ型ボックス¥1,650,000、左はジャンヌレのスツール¥528,000
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ジャンヌレのデスク¥4,950,000、奥のチェア¥528,000、手前のベンチ¥1,738,000
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イージーチェアを中心に、ジャンヌレの椅子がバリエーション豊富に揃う。

閑静な住宅街に佇む一軒家を改装してできた、アポイント制のヴィンテージショップ。広々とした店内に並ぶのは、ル・コルビュジエのほかピエール・ジャンヌレやジャン・プルーヴェ、シャルロット・ペリアンなどフレンチのミッドセンチュリーを代表するデザイナーズ家具。現在ではそれらのリプロダクト品も多く見られるが、ここで取り扱うのはオリジナルのものだけ。オーナーを務める三輪理のこだわりだ。

ジャンヌレの家具については、日本随一の数を誇り、特に椅子は同じシリーズのものも常時一定数揃えている。ダイニングセットとして購入できるのも本店の特徴だという。

なおショップの上階は三輪の自宅になっており、事前に伝えれば、一部のスペースをのぞくことも可能。これはヴィンテージのあるリアルな生活を提案したいと三輪が始めた試みで、ショップと同様に買うことができるアイテムもある。

ギャラリーアティック
住所:東京都大田区田園調布
※アポイントメント制。公式サイトにて予約後、住所などの詳細を案内
www.gallery-attic.com

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欧州のヴィンテージと、日本の侘び寂びをミックス

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定期的に美術作家の作品も交えながら展示替えされる店内。サイドボードはシャルロット・ペリアンの代表作であるブロック。アノニマスなヴィンテージや現行作家の作品も並ぶ。 
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左:ピエール・ジャンヌレのイージーチェア。 右:ペリアンのオンブルチェア。上に見えるのは同じくペリアンがデザインしたウォールライト。
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剣持勇がデザインした積み重ねできる灰皿や、柳宗理による清酒グラス、剣持勇が日本航空の機内食用にデザインしたカトラリーセットなど、日常使いできる小物も充実。※価格は購入希望者にのみ店頭で案内

麻布十番にスペースを構える「オブジェ デ アート」。ジャン・プルーヴェ、シャルロット・ペリアンといったフレンチミッドセンチュリー期のデザイナーズ家具を中心にしながらも、侘び寂びを感じさせる日本の道具や近年注目を集めるジャパニーズモダンの家具をミックスして見せるスタイルが新鮮だ。

セレクトのクオリティも言わずもがな。ペリアンにいたっては、ブロックと名付けられた彼女の代表的なキャビネットボードや、1950年代に自身の山荘のためにデザインしたと言われるデスクや椅子、また日本の天童木工と共作したオンブルチェアなども。加えて、アノニマスなヴィンテージも確かな審美眼で揃える。

店内には絵画や彫刻も飾られ、こうしたアート作品とヴィンテージ家具を組み合わせたエキシビションも定期的に開催。スタイリングの実用的なヒントも得られるショップだ。

オブジェ デ アート
住所:東京都港区東麻布3-3-8 福神館#102
TEL:080-3255-6891
営業時間:12時~19時
休業日:月、火、木、日
https://initialjapan-inc.com

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思わず心が躍る、デザインプロダクトとの出会い

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1階に飲食店が入ったこぢんまりとしたビルの2階。店舗の扉を開けると、さまざまなフォルムのカラフルなデザインプロダクトが目に飛び込んでくる。企業グッズはアップル、IBM、グーグルなどが豊富に揃う。
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バング&オルフセンが1980年代に販売した卓上電話ベオコム1000。¥27,500
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ドイツのコーヒーメーカー、メリタのストックホルムシリーズ。コーヒーポット¥13,200、コーヒーカップ各¥4,950
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ドイツ製フィリップスのウォールクロックには、メルセデス・ベンツのエンブレム付き。¥27,500

京王井の頭線、駒場東大前駅から歩いてすぐの閑静な住宅街に、約10年前から店を構える「ディティーツールス」は、1950年代から2000年代までのデザインプロダクトを、幅広く網羅するヴィンテージショップだ。

オーナーの髙橋恵美がセレクトするのは、おもにドイツものを中心に、食器、ステーショナリー、玩具、ガジェット、ポスター、テキスタイルやアパレルまで、見ているだけでも心が躍るプレイフルな雑貨類。なかでも「ディティーツールス」らしさが光るのは、80年代〜90年代の企業グッズや、ポストモダンの潮流を感じさせるデザインクロックの数々。店舗内では、毎回テーマを設けて展示販売を行う企画展を定期的に開催しており、これまでに企業グッズ展は3回、時計展は5回開催されるほどの人気となっている。道具箱をひっくり返したような店舗では、訪れるたびに新鮮な出会いがある。

ディティーツールス
住所:東京都目黒区駒場1-27-1 2F
TEL:03-3460-7636
営業時間:13時~20時(水〜土) 13時~19時(日)
休業日:月、火
https://ditty-tools.com

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