ジープ初のマイルドハイブリッドモデル「ジープ レネゲード イーハイブリッド」が、2025年7月発売される。6月にドライブした感想は、スムーズな動きと扱いやすいサイズと、広い室内で好感大だ。

日本法人であるステランティスジャパンが導入した、レネゲード イーハイブリッド。「(10年間で)累計販売台数は2万7000台超を達成しラングラーに次ぐジープのコアモデルとして成長している」とされる。
外観は標準モデルと大きく変わらない。グロスブラック(ツヤあり黒)フロントグリルアクセント、ドアマウントミラーとドアのアウターハンドルにブラックアクセント、と主張は控えめ。

室内では、インフォテイメントシステムに「第5世代」を謳う「Uconnect5」を搭載し、10.1インチタッチパネルモニターを使う。もうひとつ気がつくのは、意匠が変わったステアリングホイールだ。
今回はグラファイトグレーという既存の車体色のクルマに乗ったが、ソーラーイエローなる新色の設定もある。あざやかな黄色は、このクルマのイメージに合っていると思う。

レネゲードは、日本では路上で多く見かける車種ではないので、いつも新鮮な印象なのだけれど、実はデビューは2014年と息の長いモデルだ。
個人的にはレネゲードのデザインは発表のときから、ずっと気に入っている。グリルや丸型ヘッドランプやXパターンが活かされたテールランプなど、本格的ヨンクの「ラングラー」の要素を採り入れている。

キュートさも感じさせるエクステリアデザインと、機能主義的なパッケージングの組合せがうまい。たとえばウインドシールドは立ちぎみで、前席乗員が感じる圧迫感は少ない、という具合。
同じステランティスグループの属するジープとフィアットの共同開発車だ。フィアット・ブランドの500X(エックス)という姉妹車もあって、日本でも販売されている。

ユニークなのは、フィアットがゼネラルモーターズ(GM)と提携関係にあった時期(2000年から05年)に開発されたプラットフォームを使っていること。
それをゼネラルモーターズの競合であるクライスラーの姉妹ブランドのジープとフィアットが使っている。フィアットの経営が思わしくないことでGMから提携関係を解消されたが、いい置き土産をしてくれたといえる。

これまではICE(エンジン車)があったけれど、今回からは、このマイルドハイブリッドモデル1本に絞られた。1.5リッター4気筒エンジンと、48ボルトシステムで動くモーターを組み込んだ7段デュアルクラッチ変速機を持つ。
時速20kmぐらいまでの低速時はモーターで走行し、それより強めに加速するとエンジンが作動する。駆動用バッテリーに充電するチャージモードはなく、アクセルペダルの踏み込みをやめたり、ブレーキングするときの回生エネルギーで充電を行う。高速だとほとんどエンジン走行である。

信号が緑に変わった時の走り出しや、市街地をゆっくり走る際は、バッテリー駆動のまま走れる。アクセルペダルやブレーキペダルの踏み方には慣れも大事なようで、私も乗っているうちに燃費を稼ぐコツをおぼえた。
総じての印象は、あたりがやわらかい。めざましい加速とか、ウルトラシャープなハンドリングとかではない。日常的なパートナーとして乗っている時、クルマが“もっと速く走ったら?”などとドライバーをあおるような感覚とは無縁。

ジープというと、やっぱりいまも、ラングラーのような本格的なクロスカントリー型がイメージされるけれど、実際のラインナップは多岐にわたる。
レネゲードも前輪駆動で、ラングラーほどの悪路走破性は期待できないものの、4人で乗って、すこし遠出してデイキャンプなどでも疲労感を少なくこなすことができるモデルだ。これも一種の機能主義といってもいいのでは、と私は思っている。

ジープ レネゲード アルティチュード イーハイブリッド
全長×全幅×全高:4255×1805×1695mm
ホイールベース:2570mm
車重:1470kg
1468cc 4気筒マイルドハイブリッド 前輪駆動
7段デュアルクラッチ変速機
最高出力:96kW(+モーター15kW)
最大トルク:240Nm(+モーター55Nm)
燃費:17.7km@l(WLTC)
乗車定員:5名
価格:544万円
問い合わせ:ステランティスジャパン
www.jeep-japan.com